追っ手を逃れた柊子は思い出の野生ランの群生地で律を待つが、とうとう美佐緒に見つかってしまう。一方、柊子を見失った律も群生地へ向かうが、若槻と警官たちに追いかけられる。やがて律は追い詰められ、崖の上で若槻と揉み合いになる。
　絶対安静の状態で病院を抜け出してきた柊子の身体は限界に達していたが、それでも柊子は美佐緒を振り切り、山道を律を求めてさまよい歩く。柊子の壮絶な姿に美佐緒が手を差し伸べたその時、柊子の耳にはるか遠くから柊子の名を呼ぶ律の声が聞こえてくる。柊子も力の限り律の名を呼び返す。その声が、野生ランが白い花を咲かせる山に何度も何度も響き渡っていく。
　康一郎の死因が病死と判明し、柊子への疑いは晴れる。律の容疑も証拠不十分で不起訴となる。昏睡状態に陥っていた柊子は、二日後、ようやく目を覚ます。