あらすじ
<第7回> <第8回> <第9回>

<第7回> 「寝台特急ペガサスの眠れない夜」
 中森かえで(中山美穂)は、九州から東京行きの夜行列車、特急ペガサス11号に乗りこんだ。かえでが、車内から自宅マンションに電話すると、弟の学(小泉孝太郎)が受ける。かえでは、現状を話し、明朝7時に東京駅に到着することを報告して電話を切った。10時間後に東京駅。学は、愛原町子(西田尚美)、秋葉原りる(酒井若菜)と迎えに行くことにした。
 電話を終えたかえでは、自分の寝台のある7号車に向かう。コンパートメントには、七見幸之助(山本圭)と冬(藤村志保)の先客がいた。かえでが2人に挨拶していると、車掌の畑野(樋渡真司)が検札にくる。かえでのキップを見た畑野は、間違いを指摘。かえでの席は5号車だった。テレ笑いをしながら5号車へと移動したかえでは、自分の場所を探し当てるが、そこに居るのはなんだかおかしな乗客ばかり。酔っ払った男、長谷川(岩松了)、変な動物を抱いた婦人(夏川加奈子)、旅のセールスマン、青木(菊池均也)・・・。どうにも寝付けないかえでは、食堂車へ向かった。
 食堂車には、七見と冬がいた。同席したかえでは、2人に上海から今までの経緯を話す。その中で、自分の家族への気持ちに気づき始めたことも・・・。と、そのとき、キッチンのほうから煙が。「誰かーっ」という声を聞いてデッキに備え付けの消火器を手に取り、食堂車のキッチンに飛び込んだかえでは、迷わず消火液を吹きかけた。しかし、待っていたのは怒鳴り声。コックの南(田口浩正)だ。燃えたのはタオルだけで、しかもすでに火は消えていた。かえでが消火液をかけたおかげキッチンが使えず、料理が作れなくなってしまったと言う。
 ぐったりして5号車に戻るかえでだが、酔っ払った長谷川にからまれて休むどころじゃない。静かな場所を求めるかえでは、高校生たちでうるさい6号車を抜けて7号車へ。ここなら静かだと、空いているベッドで寝ようとすると、向かいのベッドで新婚カップル、アケミ(矢沢心)とサブ(岸田健作)が喧嘩を始めた。いたたまれず他のベッドに移動すると、今度は車掌がやってきて、かえでは5号車に戻されてしまう。だが、やはり5号車では眠れない。仕方なく、デッキで座り込んでいると、七見と冬が来た。冬は、かえでからデッキにいる訳を聞くと、買ったばかりのコーヒーを差し出す。優しい言葉にかえでがほっとしたのもつかの間、突然、冬がめまいを起こして倒れてしまった。かえでと七見は、冬を5号車の空いているベッドに寝かせた。車掌を呼ぶと言うかえでを制した冬は、かえでに自分はもう長くないのだと告げる。
 その頃学は、愛原町子(西田尚美)、秋葉原りる(酒井若菜)と、かえでを出迎えるべく、駅に向かおうとしていた。しかし、部屋から出ようとすると、りるの靴のかかとが壊れている。修理を終えて、鍵を開けるがドアが開かない。何とか外に出たものの、今度はエレベーターが・・・。
 一方、かえでの乗った列車は大阪駅を出た。かえでは、冬の容態が心配。そこへ車掌の畑野がやって来て、近くの駅で緊急停車して2人を降ろすと言う。病人を乗せたまま走るわけにはいかないと主張する畑野に、七見が「これは冬と自分の最後の旅なのです」と話し始める。話を聞いたかえでは、あることを思いつく。

<第8回> 「父の手がかりは立てこもり犯!?」
 東京行きの夜行列車に乗ったはずのかえで(中山美穂)だったが、車両を間違えたために長野県の松本まで来てしまった。駅員にキップの払い戻しを頼むが断られる。改めて東京までのキップを買う持ち合わせのないかえでは、かつて勤めていたキャロット銀行を探す。松本駅前支店があった。キャッシュディスペンサーの前に立つものの、財布がないのでカードもない。仕方なく窓口へ行くと、応対したのは窓口嬢の美香子(椎名法子)。だが、カードも通帳もないかえでが、すんなりお金を下ろせるはずもない。元社員であることを訴えるが、今ひとつらちがあかず。
 あきらめて銀行を出たかえでの目は、街の写真館のウィンドウに惹きつけられる。家族や七五三のスタジオ写真が飾られる中に、モノクロの自分の写真を見つけたのだ。思わず写真館に入ると八雲邦子(竹井みどり)が出てきた。邦子は、かえでの写真は弟がもらったものだと言う。1年位前、旅の途中にフィルムを現像するため立ち寄った男が写した写真の一枚だそうだ。かえでの父!?その時の詳しい様子を尋ねるかえでに、邦子は会ったのは弟だけだと答える。弟に会いたいとかえでが頼んだちょうどその時、店に電話がかかってきた。弟のことで、と銀行に呼ばれた邦子は、かえでも連れて行くことに。
 かえでと邦子がキャロット銀行松本支店に着くと、あたりはパトカーや救急車が止まり騒然とした雰囲気に包まれていた。タクシーから降りた2人に赤城刑事(桜庭博道)が、邦子の弟・博康(光石研)が行内に立てこもっていると説明。ショックでふらつく邦子は、赤城や大貫刑事(山田辰夫)たちに店内へと連れて行かれた。邦子にしがみつかれたかえでも一緒に・・・。博康は支店長を人質にカウンターの内にいた。融資しないなら自殺すると脅す博康。死なれては困る。父親のことを知る人物なのだから・・・そんな思いをめぐらせるかえでに、邦子が弟を頼むと言い残して気絶。救急車に担ぎ込まれてしまい、説得できる人間がいなくなった。そんな時、美香子が突然、かえでがかつて優秀な行員であったと言い出した。それを聞いた大貫刑事は「あなたに犯人を説得してもらう」とかえでを指名。嫌がるかえでだったがあれよあれよという間に、犯人説得の大役をおおせつかるハメに。
 その頃、姉がそんなことに巻き込まれているとは予想だにしない学(小泉孝太郎)が、熱を出してかえでのマンションで寝込んでいた。学からの電話で駆けつけた町子(西田尚美)とりる(酒井若菜)だったが、二人と、熱を出して弱った学が自分だけを頼って電話してきたと思っていたため、学は危うく四面楚歌に・・・。その時テレビのニュースでは、松本の立てこもり事件を報道していた。その映像に、銀行に入ってゆくかえでの姿を発見した3人は…。
 銀行では、かえでによる説得が始まっていた・・・が、うまくいっているとは言いがたい。気分を切り替えようと、かえでは博康に父のことを聞き始めた。話が進むうちに、博康がトマト栽培の話を始め、少しづつ心をやわらげていく。だがしかし、あともう少し…と、いうところで、カウンターの電話が。それは、かえでを心配し、そしてニュースによってかえでの居場所を突き止めた、町子たちからの電話だったのだが・・・。

<第9回> 「父を賭けて丁か半かの大勝負!」
 新宿へ向かう高速バスに乗った中森かえで(中山美穂)に中年の男(モロ師岡)が話しかけた。かえでは、また何かトラブルに巻き込まれてはたまらない、と寝たふりを決め込もうとする・・・が、ついつい耳を傾けてしまう。ドライブインに停車中の車内で、中年の男が本題に入った。8年ぶりに刑務所を出たと言う中年の男は四国に残した妻が心配。2年前から手紙も途絶え、一人で帰る勇気がないと語る。切ない話に、ついその男の方に体を向けようとした時、誰かがかえでの腕をとった。振り返るとそこには町子(西田尚美)の姿が!町子と一緒にバスから降りるとかえでを待っていたのは、学(小泉孝太郎)とりる(酒井若菜)。3人は、レンタカーでかえでを迎えに来たのだ。
 学が運転する車は、東京に入った。かえでは疲れて寝入っている。しばらく走ると、カーナビが、行く先が大渋滞になっていること報せ、3人は相談して一般道に降りることにした。国道を走っていると、並走する外車の存在が。乗っているのは目つきの悪い4人の男たち。学は行く手を阻まれて車を停車させられてしまう。外車からおりてきたのはダークスーツに身を包んだ強面の男。男は車のドアを開け、「お嬢さん」と町子に話し掛け、そして町子はその男を「倉橋」(郷田ほづみ)と呼んだ・・・。
 目覚めたかえでが見たのは、窓外に広がってる瀬戸内海の景色。事態を飲み込めないでいるかえでに、学とりるは、町子の実家に向っているのだと告げる。車は瀬戸大橋を渡り、結局かえでは四国へ向うハメに。
 そして車は、愛原家に到着。旅館と見紛うほどの豪邸で、かえでたちは半被を着た男たちに迎えられた。半被には、よく見ると『徳島愛原一家』の文字が・・・。町子は地元の博徒を束ねる総長、愛原鉄郎(麿赤児)の娘だったのだ。大広間に通されたかえでたちに町子が事情を説明していると、鉄郎が現れた。倉橋以上の強面だが、町子を見るとニッコリ。鉄郎は倉橋に、かえでたちを客人としてもてなすように促す。
 一同の前に豪華な料理が運ばれる。手厚いもてなしを受けた後、就寝のため町子の部屋に来たかえでたちは、そこに町子を描いたデッサン画が飾られているのを見つけた。想い出を語り始める町子。絵を描いたのは、高校時代からの町子の彼氏だという。彼が美大に行くため、一緒に東京に出たのだが、絵の勉強のため彼は海外に留学。「彼のため・・・」と送り出した町子だったが、今でも想いを残している様子だ。
 翌朝、かえではさっさと帰り支度。学は、まだのんびりしている。町子とりるを待つ間、かえでは学に父親に対する気持ちの変化を語り、出来れば自分の結婚式のことを報せたいと話す。一方、町子とりるはその間、町の観光に出かけてしまっていた。探しに出かけたかえでは、土産物屋で2人を発見。と、りるが町子を見ている男の存在に気づいた。それは、あの、町子の部屋にあった絵を描いた、九重保(佐々木蔵之介)だった。再会を喜ぶ町子と九重だったが、九重は人を待たせているとすぐにその場を去ってしまった。かえでが帰ろうとして振り返ると、りるがいない。りるを探してくると今度は町子が・・・。とりあえず、かえではりるを愛原家に連れ戻し、学と一緒にニ度と動かないように厳しく言い渡した。その時、学がかえでに長野県警から至急電話が欲しいと連絡があったと話す。かえでが電話すると、この前の銀行での出来事について、かえでに県警本部長賞を贈りたいので、明日にでも長野に来て欲しいとのこと。お礼の品も考えて欲しいと言われるが、とにかく家に帰りたいかえでは、賞なんかいらないと慌てて電話を切った。
 その頃町子は、先程再会した九重の姿を偶然街で発見。しかしそこには寄り添う人の姿が・・・。事情を聞いて、町子の気持ちを知ったかえでは・・・。


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