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オンエア後記その4 |
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前回に引き続き、第7話「霧のラプソディ」と第8話「月とペンギン」の制作裏話などを紹介していきます。 第7話「霧のラプソディ」は、掲示板のどなたかの書き込みにもあったのですがCD「STRAY SHEEP meets the MUSIC」の「セロの鎮魂歌(レクイエム)」が原イメージです。しかし、そちらの巨大なチェロは焼身自殺(?)をしてしまう暗〜い展開なのと、擬人化した楽器とのやりとりだけでは、なかなか広がらないので、チェロの奏でた音楽を聴いたポーの音楽幻想をメインにしました。 ポーを包み込む霧の恐怖を「霧魔人」というキャラクターに置き換えて表現してみたわけです。この回のキャラクターはシリーズの作画補の加藤久仁生くん(クニオくんについてはまた、機会のある時に書きます)にやってもらっています。 展開は森に忍びよる霧〜逃げまどう森の動物たち〜霧魔人登場〜ポーも霧魔人にとらわれて〜太陽と風が霧魔人を吹き飛ばすといったところです。 音楽については、前々回でも書いたのですが、山本祐ノ介さんがしびれるチェロを弾いてくれました。内容に合わせた曲名を勝手につけて音楽発注しているのですが、1曲目のポーがチェロにあうまでは「霧の森」。チェロがポーに聴かせてくれるのがサブタイトルにもなっている「霧のラプソディ」。太陽がでるくだりが「太陽と風のプレリュード」(後半で序曲は変ですが)となっています。 映像的には霧の表現がなかなか微妙で、撮影部にかなり苦労をかけました。 第8話「月とペンギン」は、キャラクターのたった、ちょっとコミカルなものをねらいました。そもそも絵柄的に氷の世界を舞台にすることで変化をつけようと思いペンギンをもってきたのですが、結果的には氷の世界はでてきませんでした。 満月の夜に変身するのは第1話でもやっているし、「ポーの子どもたち」でもポーは鳥たちの飛行訓練をしてあげてて、そのカブリがちょっと気になりましたが、こういうバカバカしいのもいいかと思い、ペンギンを飛ばせてしまいました。 タイトル予告も残すところあと3話。 第10話「鉄路のサーカス」 第11話「ゆきだるま」 そして最終話「?」 |
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霧魔人のイメージカット |
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今回は、次回の「羊関」(12/8更新)に登場してもらう宮崎秀人くんについて、少し書きます。宮崎くんはボクのまわりでは「ノムラさんの両腕」を呼ばれていてポーのテレビシリーズはもとより、ポーのフィギュア制作から他局の立体アニメまで、手広くボクの仕事のサポートをしてもらっている青年(?)です。「ポーの子どもたち」からの付き合いですが、本当に実に丁寧にすべての仕事を完璧にこなしてくれています。今やポーを描かせたら右にでる者はいません。世の中にあるポーの立体フィギュアのいくつかは宮崎原形です。今回のシリーズでは仕上げチームのチーフとして、すべてのカットのポーやその他のキャラの仕上げと管理をしてもらっています。そんな宮崎くんは、絵本作家を目指しています。(短編小説を書いたり、ボクの悪影響でアニメの企画をしたりもしています)で、ボクが見せてもらった絵本の中でとっても好きなものがありまして、それは「うみなり」というタイトルのネコとヤドカリが出てくる話です。夜を舞台にした絵の雰囲気や、ちょっとシュールな展開などとてもいい感じで衝撃的でした。それ以外にもいい絵本をいっぱい描いているのですが、なかなか出版までは、たどりつかないようで絵本業界もきびしいらしいです。しかし、毎回前作の反省を踏まえて新作を作り続ける宮崎くんの絵本が書店に並ぶ日もそう遠くないと思います。これを読んでくれてる人も宮崎くんの名前を覚えておいてください。 そして、書店で見かけたら、即買いです。 |
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![]() 宮崎秀人作「うみなり」から1コマ |
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下の文章は宮崎くんが先月発売の月刊MOEの要請で書いてくれた仕上げ作業の紹介文だったのですが、誌面の都合で一部しか載らなかったので、ここに全文掲載させてもらいました。 ストレイシープのフルアニメーション化が決まったときに、一番驚いたのは、ぼくたち、仕上げチームだったかもしれません。だって、ポーを1体描くのに、30分はかかるので、ポーを1秒動かすためには、5時間もかかるわけです。これで2分半の番組を、1話につき1週間で仕上げるなんて…本当にできるの? と誰もが思いました。 仕上げチームとは言っても、プロのアニメーターではなくて、野村さんを慕って集まった、アニメ作家や絵本作家を目指す人たちですから、1秒を10コマで割ったうちの1コマではなくて、絵として一枚一枚仕上げてしまいます。それが良いか悪いかはわかりませんが、絵がつながったときの「味」になっていると思います。編集後のテープを見るときには、まばたきひとつ出来ません。だって、まばたきひとつぶんで、一枚の絵なんですから。 |
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