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まず、なぜミュージシャンが声の出演をしているかという質問ですが、ボクがアニメーションの声優さんより、普段から聴いているミュージシャンのほうをよく知っていたということです。もうひとつは、アニメーションということで、いわゆるアニメチックな声をあてるより、その声自体に存在感や味わいのある声の方が新鮮だったからです。それで、ポーをはじめ、自分の敬愛するミュージシャンや役者の方々に出演してもらったのです。その結果、あのようなキャストになったわけです。そして、ミュージシャン(特にヴォーカリスト)の方は、流石、声の表現者という感じで、どなたも存在感と雰囲気がある上に、とても上手なのです。
もうひとつの質問の答えは、かなり昔の話になります。
白井さん、高泉さん、陰山さんは、(今は、形態がかわりましたが)「遊◎機械/全自動シアター」の役者であり、演出家や劇作家でもある方々です。白井さん、高泉さんとの関係は、かなり古く、ボクが今も勤めるロボットというプロダクションで働き出して間もない頃に(今から15年以上前)、「遊◎機械/全自動シアター」の『学習図鑑』という御芝居(何度か再演されている名作の初演)を、新宿シアタートップスで観て痛く感動してしまったのです。当時は、小劇場ブームというのが盛り上がっていて「第三舞台」「劇団青い鳥」「ブリキの自発団」「プロジェクト・ナビ」……などなどいろんな劇団がひしめきあっていました。そんな中ボクは、「遊◎機械/全自動シアター」の現実と夢や幻想、過去と現在がいりみだれ(これだけだとよくある演劇パターン)ながらも、ノスタルジックで物悲しくて暖かい後味と、白井さん高泉さんの圧倒的なパフォーマンスに心をわしづかみされてしまったのです。
当時、劇団もまだこれからという感じで、低予算で衣装から舞台美術までいろいろなものを作っていたので、宣伝美術にまであまり力が入れられないという感じでした。そこで、大学時代の友人3人でチラシやポスターのデザインなどのお手伝い(もちろんノーギャラ)をさせてくださいと劇団に押しかけたわけです。そして、白井さん、高泉さんその他のスタッフや役者のみなさんと知り合い、練習を見せてもらったり、事務所に遊びに行ったり、好きな映画や音楽の話をしたりしました。そして、白井さんと高泉さんの(当時まだ陰山さんはいなかったのですが)優しくてステキな、その上ものすごく謙虚な人柄に触れたりしたのです。そんなことがあり何公演かのチラシを考え作りました。そう言えば、舞台用の大きな絵を狭いアパートで描いたこともありました。そうこうしているうちに自分は、会社の仕事(CMディレクター)が忙しくなり、なかなか時間がとれなくなってしまいました。(ボクがお手伝いができなくなってからも、友人の一人は大手デザイン会社に入って、プロとしてポスター、チラシのデザインをしばらく続けていました。)そして、劇団はどんどんメジャーになっていきました(絶対そうなると信じていましたが)。自分もCMディレクターからアニメーション作家などと名のるようになりました。以前のようになにかを手伝う機会がなくなってからも、公演があるたびに招待してもらってました(今だに招待していただいておりまして恐縮です)。なので公演は、行ける限り観せてもらっています。そして、知り合ってから10年以上の年月がたち、ポーのシリーズが続いたことによって、やっと声だけですが仕事をお願いすることができたわけです。たぶん、白井さんたちにとって、あまりメリットのある仕事じゃないかもしれませんが、ほんとに快く引き受けてもらったわけです。
さねよしさんに関しては、ボクは、ミュージシャン系のつながりから知り合ったのですが、その後、「遊◎機械/全自動シアター」で客演されました。こんな風に、ひとつのことを続けていると、知り合いの知り合いが知り合いだったりして、どんどん世界が狭くなるようです。(爺臭い?) |
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