数々の有力選手を指導する長光歌子先生が
フィギュアスケート界を楽しく語ります!

歌子の部屋

番外編

辻麻希選手インタビュー

1985年04月27日生まれ。6歳でスピードスケートを始める。ソチオリンピックでは500mと1000mへ出場し、2017年世界スプリント選手権総合6位。現在もナショナル強化選手として第一線で活躍している辻麻希選手にインタビューをしました。(インタビュー日:2020年9月16日)

2020.9.30

辻麻希選手 サイン

■辻麻希選手/直筆サイン。次ページ以降もご本人提供の写真を掲載しています。

はじめに

 日々最前線で新型コロナと闘ってくださっている医療従事者の皆様、本当にありがとうございます!
 今までの当たり前の生活が当たり前でなくなり、先の見えない日々に不安やストレスが溜まっている方も多いかと思います。今出来ることに限りはあるかもしれませんが、一人一人の小さな心がけが先の明るい未来を切り開いていくことと思います。明るい未来が来ることを信じて一緒に闘いましょう!一緒に乗り越えましょう!そしてまたリンクで皆様に笑顔でお会い出来る日を楽しみにしています。

スケートとの向き合い方に関して

■昔と比べてスピードスケートが変わったなと感じるところはありますか―

 私がスケートを始めた頃はまだ屋内リンクがなく、練習も試合も全てが屋外リンクでした。大雨や大雪や強風の時でも練習や試合はあり、毎回寒さとの闘いでした。今では屋内リンクでの練習や試合が主なので、天候に左右されることなく安定的に滑ることができるので、本当にありがたいと感じます。
 私が小学校高学年の頃、かかとが離れるスラップスケートが出始め、中学に上がったと同時に私も使い始めました。当時は、スラップスケートの凄さが全くわからず、音が鳴ることに快感を得ていました。実際は音を極力鳴らさないように滑るほうがスピードに繋がるので、小学生の頃に使っていたノーマルスケートをもっと極めておけばよかったかなとも少し思っています。
 ナショナルチームが出来たのも大きな変化でしたね。それまでは夏と秋に全日本の合宿がありましたが、基本的には企業チームに分かれてトレーニングをしており、合同練習は数回ある程度でした。今では年間を通してハイレベルなメンバーとハイレベルなトレーニングができ、トレーナーさんも常に帯同してくれているので、常に万全な状態でトレーニングができています。本当に恵まれた環境だなと思います。
 また、日本に居ながらにして外国人コーチに教わることが出来る環境も、今までにはなかったことですね。海外に行かずとも毎日英語に触れられる、スケートだけではなく語学の勉強も自然と出来ますね。
 平昌オリンピック後からは会場に応援に来てくださる方が本当に増えたなと感じています。それまでも毎年会場に来てくださっていたファンの方もいましたが、会場がスカスカの状態での試合が普通でした。今では本当にたくさんのお客さんが会場をいっぱいにしてくれて、大歓声の中でレースが出来ることが本当に嬉しいですし、こんな私にまで大きなご声援を送ってくださることに本当に感謝しています。スピードスケートをもっともっと盛り上げていけるように、より一層頑張ろうと思います。

■スピードスケートに対する意識の変化はありますか―

 もともとは習い事の一つとしてスケートをやっていましたが、高校生の時には部活動として、そして高校卒業後からは仕事としてスケートを選んだので、昔よりも結果にこだわるようになったと思います。
 ジュニア時代はやればやるだけタイムが出せて、世界ジュニアスピードスケート選手権にも行かせてもらい、本当に楽しくスケートをしていたのですが、社会人になってからはなかなか成績が伸びず、結果も残せず、本当にスケートが嫌いになりそうでした。
 それでも地元帯広に明治北海道十勝オーバルがオープンしたのをきっかけに拠点を帯広に戻してからは、スケートの楽しさを思い出し、それと同時にタイムも伸びていき、目標であったオリンピックも経験させてもらいました。
 なかなかうまくいかないことのほうが多いのですが、今ではそれも含めてスケート本来の楽しさを年々感じらるようになってきているなと思います。今では生活の一部、なくてはならないものになっていますね。

■長く競技を続ける秘訣を教えてください―

 スケートを好きで居続けること!スケートを楽しむこと!これにつきます。
 何度も辞めようかなと思った時期はありました。でもやっぱりスケートが好きで、もっとスケートの楽しさを追求したいと思って色々と試しているうちに、毎年毎年新しい「気付き」に出会えて、もっと新しい自分を見たいと思っているうちに気づいたらこんなに長く現役を続けていました(笑)。

■スピードスケートを始めてみたいと思っている方にアドバイスなどはありますか―

 最初は足が痛かったり、うまく立てなかったり、本当に難しいスポーツだと思います。でも、風を切って滑れるようになったら間違いなく楽しんでもらえると思います。
 私も、毎年シーズン初めには必ず足が痛すぎてすぐ靴を脱ぎたくなったり、なかなかうまく滑れなかったりします。最初から腰を曲げて滑る完成形を目指さず、まずは立って滑れるようになるところから、根気よく続けてみてください。そして自分なりの楽しみ方を見つけてみてください。

スライドボードを使って技術練習

■スライドボードを使った技術練習

長光歌子(ながみつ うたこ)
長光歌子(ながみつ うたこ)