数々の有力選手を指導する長光歌子先生が
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歌子の部屋

番外編

渡邊啓太選手インタビュー

1992年03月25日生まれ。3歳の頃からスケートを始め、昨シーズンは全日本選手権制覇、ワールドカップ第3戦の1500m競技では3位入賞を果たし、日本ショートトラック界をけん引する渡邊啓太選手にインタビューしました。
渡邊啓太選手オフィシャルページはこちら(インタビュー日:2020年5月28日)

2020.6.29

渡邊啓太選手 サイン

■渡邊啓太選手/直筆応援サイン。次ページ以降もご本人提供の写真を掲載しています。

はじめに

 まだまだ安心して生活できる状況ではありませんが、明るい未来へ向けて、ひとりひとりが考えて行動して乗り越えていきましょう!そして、乗り越えた先にスケートリンクで会いましょう!

ショートトラック競技に関するインタビュー

■2019-20シーズンを振り返っていかがでしたでしょうか―

 昨シーズンのワールドカップ第3戦は、約10年日本代表として戦ってきたなかで、個人としては初めての国際大会のメダル(1500mの3位表彰台)を獲得できたので素直に嬉しかったです。ただ内容的には70点くらいのレースだったので、まだまだ自分はできると思っています。
 全日本選手権での総合優勝は昨シーズンの目標として決めていたので、達成できて良かったです。しかし、全日本を連覇したことはないので、20-21シーズンも引き続き頑張りたいと思っています。
 「去年の自分への挑戦・自分を超える」を目標に、シーズン最後の世界選手権を迎える意識をしていましたが、中止となってしまいました。残念ではありますが次を見据えて成長しようと思っています。

■ショートトラックを始めたきっかけは―

 スケート自体は、幼稚園の頃から冬に行われていた教室に参加して体験していましたが、ショートトラックは東武川越スケートセンター(埼玉)で行われていたスケート教室参加がきっかけです。当時、小学2年生でしたが、たまたまクラブチームの大貫監督(当時:コーチ)に誘われてショートトラックを体験し、即入部した記憶があります。

■ショートトラックの魅力は―

 ショートトラックの魅力は、スピード感のある駆け引き・最後の最後まで展開が読めないハラハラ感だと思います。時速50キロ近い速度の中で抜きつ抜かれつ、ハプニングもあるエキサイティングな競技なのが魅力です。また、各選手に特徴があるので、それを知っていくとより面白く観戦することができます。

長島ヘッドコーチと

■3月シーズン最後の練習風景(長島ヘッドコーチと)

■ショートトラック競技の「ここが難しい」を思いつく限り教えてください―

 まず、時速50キロ近い速度の中でミスを限りなく減らしてコーナーを回っていくことが難しいです。つまり、コーナー入口から出口にかけてが上手くいけば、直線の減速がなく伸びがでて相手を抜き去ることができるのです。またアクシデントに巻き込まれないことも大切です。「運がある」「運がない」の前に、相手の動きを読み、準備しておくことが出来るか出来ないかも実力の1つだと思っています。
 また僕の場合は、自分に目を向けていた方が良い結果を得られることが多いのですが、どうしても相手の選手や組み合わせに意識が向き、レース展開ばかりを考えてしまいがちです。自身の課題に集中し、その時々の流れに合わせて滑走できるように、自分をコントロールすることも難しいところだと感じます。

■シーズン中はどのようなスケジュールで生活していますか―

スケジュール

 10月の選考会(全日本距離別)からシーズンが始まり、代表選手に選考されれば、11月にW杯が2試合(欧米大会)、12月に2試合(アジア大会)、2月に2試合(欧州大会)の計6大会があります。12月のアジア大会後に全日本選手権(代表選考会)が行われ、欧州大会と世界選手権への選考が行われます。遠征は合宿を含めると3週間強の期間となるので、シーズン中はほぼ自宅にいることがありません。

■駆け引きはどのようにトレーニングしていますか―

 レース前に、何が最悪で何が最高なのかを考えるようになってから、駆け引きは上達したと思います。他の選手の過去のレースを見て「自分だったらどうしたか」と考えたり、自分のレースを改めて見返して考えたりしています。

■メンタルトレーニングなどは取り入れていますか―

 メンタルトレーニングは専門的には行っていませんが、メンタルのコントロールについては自分で勉強しています。
 日頃のトレーニングへの姿勢が心を強くすると思っています(笑)。
 知人から薦められて瞑想も始めましたが、心のざわつきがなくなりフラットになることによって集中できている気がします。おすすめです。

■ブレードは皆さん自分で研いでいますが、研ぐ事でどのような変化がありますか―

 ブレードは研ぐことによって氷へのグリップ力が高まります。高まることで踏ん張ることができ、スピードを作ることも、相手を抜くことやブロックすることも出来るようになります。次のレースまで時間がない時などは、コーチにお願いすることもあります。人によって研ぐことが得意、不得意はあると思います。僕はあまり得意ではないですが、自分のスケート靴は自分で研ぎたい派です。

長光歌子(ながみつ うたこ)
長光歌子(ながみつ うたこ)