数々の有力選手を指導する長光歌子先生が
フィギュアスケート界を楽しく語ります!

歌子の部屋

vol.42

12月でシングル競技を引退し、来年1月からアイスダンスへの転向を決めた髙橋大輔選手について

歌子先生にアイスダンスへの転向を決めた髙橋大輔選手の近況について伺ってきました。

2019.11.15

歌子先生

今シーズン髙橋選手はシングルとして最後の全日本に挑むことになるかと思いますが、今はどんな仕上がりですか。

 今シーズンが始まる前は、アイスショーのための練習合宿や本番がありました。その後もショートプログラムの振付けや、そのお披露目となるアイスショーなどもあり、さらにアイスダンス転向報告の会見やTV出演など様々なイベントがありましたので、昨年のようにシングルの練習に集中できる日々があまり多くはありませんでした。今はまだ仕上がりと言えるほど良い状態ではなく、また西日本選手権は直前の足の怪我により欠場せざるを得なくなってしまいました。ですが、シングル最後の試合になるであろう全日本選手権では、観客の皆様の心に残る演技をするべく練習を頑張っている最中です。

髙橋大輔選手のアイスダンス転向に関して、歌子先生は「シングルにこだわることはないとずっと思っていた」との事ですが、この転向の話を大輔さんから聞いたときにどのように感じましたか。

 彼のこれからのスケート人生を考えれば、アイスダンスでのスキル習得は、更に沢山の引き出しを作ってくれるに違いありません。その意味では、この流れは必然なんだなと感じました。
 ただ、今までのように、彼の練習を間近で見られないのは寂しくなるでしょう…。

先生にお話しされたときの大輔さんはどんな様子でしたか。

 最初は、やってみたいけれど、かなちゃん(村元哉中選手)との相性やかなちゃんにとって大丈夫なのか?など、とにかくかなちゃんとトライアウトしてみないと何とも分らないということでしたが、実際にトライアウトしてみて、やって行こうと決断した後は淡々と報告してくれました。

改めて転向に対して歌子先生の気持ちを教えてください。

 私は、大輔の人生は大輔が決めて行けば良いと思っています。
 ただ、最初に話を聞いたときは、彼のファンの皆様はどう思われるのだろうか?アイスダンスで滑る姿より今までのように一人で滑っているのを見たいのではないか?とそこが心配でした。

33歳からの新たな挑戦をどう見守りたいですか。

 厳しい道であると思います。
 でも、かなちゃんにも助けてもらいながら、あの2人にしか出来ないアイスダンスを作り上げてほしいと思います。

歌子先生は村元哉中選手とも長い付き合いだと思います。先生から見てどんな選手ですか。

 スケーターとして、とてもセンスの良い華やかな選手です。
 アイスダンサーには華やかさが必須のスキルだと思います。でも習って身につくものではないので、その意味でも恵まれた素敵なスケーターですね。
 それに、練習では非常に真面目で努力家ですので、大輔と2人でさらに大輪の花を咲かせてほしいです。

今回の話は村元さんから持ち掛けたそうですが、それを聞いてどう思いましたか。

 実は、かなちゃんがクリス・リード選手とカップルを解消した後、パートナーが見つからないと心配した濱田(美栄)先生が、いつのショーだったか、出演者や私たちコーチと会場で軽食を頂きながら談笑していた時に、「かなちゃんのパートナーにいいスケーターはいない?」と皆に聞いたんです。そうしたら、その場にいたメリル・デービスさんが「大輔がいるじゃない!?」と答えたんです。その事を濱田先生がかなちゃんに伝えたのが始まりなんです。その時は冗談半分で笑っていたのですが、少しずつ現実になって行きました。

長光歌子(ながみつ うたこ)
長光歌子(ながみつ うたこ)