数々の有力選手を指導する長光歌子先生が
フィギュアスケート界を楽しく語ります!

歌子の部屋

vol.34

対談企画 ゲスト:鈴木明子さん

現役復帰後初の試合、近畿ブロック選手権を終えた髙橋大輔選手。コーチとしての歌子先生と、髙橋選手の昔からの友人で、歌子の部屋2度目の出演となる鈴木明子さんにお話を伺ってきました。

今年の注目の選手は

鈴木明子さん

山下真湖選手ですね。今年ジュニアからシニアに上がったばかりですが、すごく頑張っていますよね。(GPシリーズ スケートカナダで200点を超えて総合2位)

私は中部ブロックの山本恭廉選手ですね。ビールマンスピンが出来る子で、ルッツまでプログラムに組み込んでいまして、すごく踊る子なんですよ。表現がすごく良くて、トリプルアクセルとか大技はないんですが、すごくいいプログラムを滑る子です。こういう子がもっと出てきて欲しいなと思います。
あとは東日本選手権で3位に入った永井優香選手ですね。彼女も一時期ボロボロになって、辞めてしまっても仕方がないかもと思うほどでしたが、振り付けをやったときに、この一年ですごくモチベーションが上がってきてて、3回転ルッツまで取り戻しました。あの特徴的な大きいルッツを取り戻してくれて、あんなに落ち込んでも、もう一回ここまでやれるって凄く良いことだなと思っています。落ち込まずに上り調子にずっと行けるのももちろん良いのですが、こういう、挫折を乗り越えてゆくのもいいのかなと思いながら観てました。
今は本当にすごくモチベーションがあるのを感じますね。全日本を経験している選手の凄いところだと思いますよね。

一回落ちて、そのままになってしまう選手もいるけれど、また復活してきてくれる選手もいますものね。

何より今のスケートが楽しいですって。前向きにやってくれてすごく良いなと思っています。

北海道の鈴木潤くんもよく頑張っていますよね。学業とも両立してるし、応援したいです。

新ルールで見られた変化について

男子の方は短くなった分、要素をこなすために「走って走って」になってしまっていますね。コレオシークエンスなんかは、そこでレベルを取るためではなくて、「個々の個性をしっかり出しましょう」というところから始まっているのに、時間がなくってもう素っ飛ばすしかない。そこは本当に難しいです。

そうですよね。コレオシークエンスも基礎点が上がって、加点がもらえるようになって、それこそ満点だったら3回転ジャンプ1本分になるので、それであればもう少しそこで時間の余裕が欲しいなと思います。

新ルールの影響は

男子は新ルールの難しさに気づいていますよね。あとは私が見ていて感じることですが、特に女子でアンダーローテーションが4分の1回転の不足で取られちゃうようになったのはきついですね。

4分の1回転はオッケーにしてあげて欲しいですね…。
ちゃんとした回転数で降りて来ると、あとの滑りが悪くなってしまうこともありますよね。

あとは、滑る軌道の上で跳んでたら、どうしても跳んだ(足の角度の)ところで着氷をすると不足してしまうんですよね。

そうですね。昔はそういう風に教えられたものなんですが。今はそれでアンダーローテーションを取られちゃうので難しいですよね。

女子は特に全体の流れを重視しないといけないけれど、流れを作る部分で減点を取られちゃっているんですよね。みんなコンビネーションジャンプの1個目でアンダーローテーションを取られたりもするじゃないですか。後のジャンプに繋がるように流れを作っている、1個目のジャンプが逆に回転数足りないってことが、結構見いてあるなと感じますね。

そこよりももっと違うところを厳しくしてほしい。4分の1回転はやっぱりオッケーにしてやって欲しいなと思いますね。自分で何の要素を重要ととるか、そこは自由にするみたいなのもあっても面白いかも。あとはやっぱり、男子の話ですが4分になっちゃったのもきつい部分ですが、みんなには頑張って欲しいですね。

振付けを行うにあたって

去年作ったものをそのまま使う子に関しては、やはりコレオが重視されると言われたので、もう一回コレオシークエンスの見直しはしました。「音楽に合う」、そこが全てなんですよね。もうちょっとボリュームがあったほうがいいかなとか。ただ、そうなってくると女子もやっぱり時間が足りないと感じますね。本当に難しいと思います。そこが変えていくところでは一番大きかったと思います。

やっぱり振付けをする側にはすごくジレンマがありますよね。

絶対毎回時間が足りないんです。結局前半をもっと、ジャンプを跳ぶタイミングをタイトにしたいと思うのですが、ジャンプまでの助走が必要な子はきついのではないかと思います。

でもコンパクトに跳べるから上手いかというわけでもないので、その辺がもう一つ難しいところですよね。

助走が長いとリンクは大きく使えるし、大きなジャンプが跳べるので、どっちがいいとも言いきれない面はあります。

男子も前くらい時間があれば、自分のいいところをしっかりと出せるプログラムが作れるのではないかなとも思いますね。

ただ現状のルールを把握して、みんな頑張って欲しいですね。

そうですね、男子は昔5分ありましたから。


ありがとうございました。

今後ともよろしくお願いいたします。

鈴木明子さん
長光歌子(ながみつ うたこ)
長光歌子(ながみつ うたこ)