数々の有力選手を指導する長光歌子さんが
フィギュアスケート界を楽しく語ります!

歌子の部屋

vol.34

対談企画 ゲスト:鈴木明子さん

現役復帰後初の試合、近畿ブロック選手権を終えた髙橋大輔選手。コーチとしての歌子先生と、髙橋選手の昔からの友人で、歌子の部屋2度目の出演となる鈴木明子さんにお話を伺ってきました。

2018.11.2

鈴木明子さん
鈴木 明子(すずき あきこ)
鈴木 明子(すずき あきこ)
2010年と2014年の冬季オリンピックへ出場、2012年世界選手権銅メダリスト、2013-14シーズンを最後に現役を引退し、現在はテレビでのコメンテーターや各地での講演のほか、振付師として活躍している。

髙橋(大輔)選手の復帰戦をご覧になって

色んな事が起こるだろうというのは重々承知の上で、復帰を喜んできました。
4年間のブランクの間でやっておかないといけなかったことを、体調も含めてどれもこれも短期間で仕上げなければならないと、覚悟を決めてやり始めましたが、やはり段階を踏んで経験をしていかないといけないんだなということを改めて感じました。
しかし、4年前は大輔のモチベーションを上げるのに、こちらがすごく疲弊したこともあったけれど、今回の彼はどんなことがあってもモチベーションが落ちることがなくて、そういう面で観ていてすごく楽しかったですね。

鈴木明子さん(以降:鈴)復帰自体にびっくりしたことは確かですが、また本気の彼が見られることが本当に嬉しかったです。
並々ならぬ決意がないと戻れないことは私もわかりますし、彼が一番その事を分かって戻ってきているから、頑張って欲しいというよりは祈るような気持ちでした。
とにかく、やりたいような事が出来たら良いなということだけを思って観ていましたが、
この4年間で1番楽しんでいるというか、モチベーションがすごく高いことを感じ取れましたし、色んな事があることは大変だという事を自覚して、それでも前向きに演技をしていることが、すごくスケーターとしても友達としても本当に嬉しく思いました。

他の出場選手(男子)について

みんな大輔に引っ張られているように感じました。大輔がすごくいい雰囲気で練習ができているので、それを感じてたのか「32歳のおじさん(笑)があれだけやってるんだから」みたいな雰囲気がありましたよね。負けられないと思わせているんじゃないでしょうか。
ベテランらしい、失敗してもすぐにカバーする所を下の子たちに見せられるなど、良い影響を与えていたんじゃないかと思います。
フリーを見ましたが、なんかいつもよりみんな緊張していたのか、珍しくミスが多かったと感じました。シーズン浅いからまだまだこれからだと思いますが、いつもとは異なる緊張感があったと感じました。

確かに今回はいつもとは違う緊張感がありましたね。まだ地方ブロック大会なのに。
まるで全日本のような緊張感だったと思いますが、地方ブロック大会であの雰囲気の一端を味わえたのは、下の子たちにとっても良かったかもしれませんね。

今回のシニア女子の途中からは、キス&クライを設置してもらえましたよね。地方のブロックレベルの選手だと、テレビライトがついて、モニターが前にあってという事を知らない子が多いですよね。でも、近畿ブロックでそれを自分たちが体験出来たのは、本当にみんな良かったんじゃないかと思います。

愛知県は、県大会でもそれをやっているんですよ。愛知県の子がみんな世界に出ていくためにって、必ずキス&クライを用意して、表彰式も氷の上で行うんです。
将来的には必ず氷の上での表彰になるので。でも、それを味わう事ができるのは一部の子たちだけなので、スケートをやっていて、そういう経験ができるのもまた一つの良いことなのかなと思っていました。今回の大輔君の復帰はある意味スケート界に波を起こしている感じがしますね。

本当にそうかもしれないですね。
選手たちも「とても異様な緊張をして疲れました。」とか話していて、そういった大きな影響を与えるという事は、先輩選手冥利に尽きますよね。

鈴木明子さん

岩野桃亜選手(関大スケート部で、鈴木明子さんが振付けを行っている)について

やっとショートプログラムで、60点超えができたんですよ。それで喜んでたんですけど、フリーでほとんどアンダーローテーションを取られてしまって、点数が伸びなくて、3番まで落ちてしまいました。次はアンダーローテーションを取られないように、もう1回練習を組み立てようかなとは思っています。でも、ショートプログラムでスピンも全部レベル4がとれて、明子さんに振り付けていただいた演技なんですが、すごく評判も良かったし、よく成長してくれたなと感じました。

滑りがかなり良くなりましたよね。レベルが取れてるだけでなくて。去年作ったプログラムなのでステップをブラッシュアップしようとした時に、「こんなに滑るようになったんだ!」と感心しました。
最初は、踊る子なんだけど、踊りたい気持ちに対してスケートを滑る技術がまだちょっとついてないという印象だったのですが、今は一歩一歩が滑るようになっていて、先生たちが細かく細かく言ってきたんだろうなと思いました。すごく一歩が伸びるようになって、成長してるなと思いました。

本当にコツコツよく練習をしていました。
フリーが夜遅かったのと、最終滑走というのもあって氷も悪くなってたから、そこもまあアンラッキーではあったのですが、今回は次の課題が出来たと思いますね。

長光歌子(ながみつ うたこ)
長光歌子(ながみつ うたこ)