F1 スーパースター列伝Vol.3
文・山口正己

もうひとつ、契約の渋り方がシャキッとしない、ということでバトンを責める意見もあった。しかし、それも当たっていない。バトンに限らずF1ドライバーは、契約などの事務的手続きを代理で行なう代理人がいる。契約を渋るのもスムーズに進めるのも、マネージャーと呼ばれる彼らの責任だからだ。
もちろん、バトンが雇っているマネージャーだから、バトンに責任がないわけではないが、あのダラダラと引き伸ばした契約の粘っこさは、バトンではなく、マネージャーの責任と見るのが正しそうだ。いくつかの現象を見れば、バトンは案外義理堅く、けなげな奴であることがわかる。

8月のハンガリーGPで初勝利を飾った後、バトンはお忍びで日本を訪れている。前々から決まっていた中国でのプロモーション活動に出席したバトンは、少し足を伸ばしてホンダにあいさつをするために日本に立ち寄ったのだ。残念だったのは、ホンダがそれを公にしなかったこと。そこで簡単な記者会見でも開いてくれれば、"健気なバトン"の印象ができたのに。

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