F1 スーパースター列伝Vol.3
文・山口正己

一昨年と去年、デビューの2000年に所属していたウィリアムズに里帰りするのか、それともホンダの前身だったBARに残るのか、揉めに揉めたことがある。特に去年は、秋になるギリギリまで決定を渋り、結果として佐藤琢磨を追い出す形でBAR残留が決まったから、日本にはバトンがお嫌い、というファンもいそうだ。
しかし、二つの理由でそれは逆恨み。ひとつは、夏前の段階で、バトンのウィリアムズ入り濃厚と読んだBAR陣営が、バトンが去った後に大物と契約しておくことが肝心と人選を急いだ。その段階で契約を取り付けることができる優勝経験ドライバーは、当時フェラーリに乗っていたルーベンス・バリチェロだけだった。そこで、バトンが抜けた場合を想定して、BARはバリチェロとの契約を急いだ。
ところが、結果として、バトンの残留が決まった。順番からして、残りひとつのシートを、バトンと琢磨が争い、その結果として琢磨はBARを去ることになった、と受け取ったファンもいたが、事実はそうではなかったのだ。

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