F1 スーパースター列伝Vol.2
文・山口正己

トップ3会見で2人の間に沈滞ムードが漂っていたのはそのためだった。シューマッハは、わざとスピンしたのではないか、という疑いがもたれ、辛らつな質問も飛んだ。しかし、アロンソは、ふざけるな!と怒鳴るでもなく、ふてくされるでもなく、ひたすら堪える表情をしていた。
結果的に、シューマッハは故意にコーナーを曲がりきれないことにしてマシンを停め、アロンソのアタックの邪魔をしたカドで予選タイムを抹消され、ピットスタートを課せられ、2番手のアロンソがポールシッターとなった。アロンソは、こうなることがわかっていて、トップ3会見で何も言わなかったのだろうか?
そうではなかった。アロンソは、レースという闘いが決して隙を見せてはならないことを知っていたのだ。トップ3会見の時点では、シューマッハの行為が故意かどうかの判定は出されていなかったが、もしも故意だったとしても、だったらもっと早い段階でタイムを出しておけばよかった。アロンソは、そのことを知っていたから文句を言わなかったのだ。

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