「果たして、新王者は誕生するのか!?」
文・李春成

さて、過去のGPでは94〜95年、及び98年大会を制したアーツだが、この秋で35歳を迎える彼にも最後の闘いが迫ってきたようだ。93年の第1回大会からの戦友でもあるアーネスト・ホーストも、開幕戦で予定されていたカラエフとの一戦を持病のためにキャンセルし、今後はGPから身を退くことを発表したばかりだ。
かつてのアーツには生活態度に無頓着で、ポテンシャルの高さだけで試合をこなしてきたというイメージがあったが、現在の彼にはメンタル面の逞しさを感じる。開幕戦でも開始1分過ぎに右スネを負傷しながら、最後までアグレッシブさを失うことなく難敵のマイティ・モーをKOで葬った。一方のレ・バンナも「喧嘩番長」のニックネームをもつだけあって、アグレッシブさではアーツをも上回る。02年のGP決勝で左腕を骨折して以来、しばらく一線から遠ざかっていたが、99年大会の2回戦ではアーツを1RでKOしている。今回もゲーリー・グッドリッジから3度のダウンを奪い、完全復活を強く印象づけての決勝大会進出だった。
トーナメント経験が豊富なアーツが言う。
「新しい選手は常に出てくるものさ。20年間にわたって最前線で闘うことは、誰にもできないからね。でもオレは、あと10年ぐらいできるかな(笑)。アーネストも、今年で40歳だろ。ただ彼もオレも、いい時代を過ごしてきたと思うよ。ジェロムは、できればKOで倒したい。決勝大会はトーナメントになるから、KO勝利がないと勝ち抜くのが難しいんだ」

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