・生き馬の目を抜くような政権交代劇が繰り返されてきたこの国の歴史に、柳本晶一監督率いる全日本女子の姿が重なる。チームが立ち上がった昨年3月、まさかこのような心境で「ワールドグランプリ」のジャカルタ・ラウンドに臨むとは、誰が予想していただろう。全日本の現在を確信していた者がいたとすれば、それは日本バレーボール界の主流から外れていた柳本をおいてほかにはいないはずだ。協会関係者から選手にいたるまで、漠然とした不安だけで柳本ジャパンのスタートを見送ったのではなかったか。
●ワールドグランプリ・韓国ラウンドで、いちだんと飛躍する柳本ジャパン
・市内の高級ホテルのロビーで出逢った河西昌枝が、背筋をピンと伸ばしながら言う。「アテネは8月でしょ。オリンピック出場を決めたチームにとって、本番ひと月前のこの時期の闘い方って、すごく難しいのよね。こちらの日本人会の方にも、“ここで負けると厳しいですね”って言われるんです。でも、なんと答えたらいいのか……」この“東洋の魔女”は、女子強化委員会の副委員長である。だが、時代は変わった。現在はデータを駆使した「ID バレー」が主流になっている。日本人と欧米人の身体能力の差を技術や奇策でカバーしても、同じ手が2度目も通用するとは考えにくい。
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