前サッカー日本代表監督 フィリップ・トルシエ(前編)
インタビュー・文/李春成

奇しくもチェコとアメリカは同じE組にエントリーされており、同組にはイタリアも含まれる。トルシエが「サプライズな存在になるかも」と予想するアメリカは、ユース年代から一貫して育成されてきた選手が中心となっており、組織力の高さでは群を抜く。'94年のアメリカ大会時と現在とでは状況が一変していて、ほとんどの選手が国内培養された者ばかりだ。このアメリカの出来次第では、アルゼンチンとオランダが呉越同舟となったC組に次ぐ「グループ・オブ・デス」(=死のグループ)になる可能性を秘める。そしてトルシエも指摘したように、E組を1位通過すれば、決勝トーナメント初戦は日本が含まれるF組の2位である。逆に2位通過するとF組をダントツで突破すると思われるブラジルと当たるため、E組の予選では激しいツバ競り合いが展開されるだろう。そんなE組の開幕戦は、日本の初戦となるオーストラリア戦が行なわれる6月12日である。それもチェコとアメリカというダークホースの一騎打ちであり、このゲームの結果がE組の行方を占うことは間違いない。

さて、以下は筆者とトルシエの一問一答である。

[Q]今回のワールドカップで世界のサッカーを変える要素があるとすれば、それは何だと思いますか。

[A]私にとってワールドカップとは、スポーツの祭典であるという前に、世界中の人間が一致団結するフェスティバルという印象があります。そこには"博愛"のメッセージがあり、世界中で起きている様々な紛争や問題を一時的に忘れ、すべての民族が一緒になるという意味が込められていると思います。今大会もサッカーという媒体を通じて"平和"に対するメッセージを世界へ送り届けることができれば、まず成功と言えるんじゃないでしょうか。

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