R:ほかにはどういう条件を揃える必要があるんでしょうか｡やはり政治力のようなものも左右するんですか｡
I:それもありますが､やっぱり一番求められるのは経済的な体力ですね｡どれだけ大きなｽﾎﾟﾝｻｰとﾀｲｱｯﾌﾟできるかによります｡
R:なるほど｡だけど､どんなに資金があっても､ﾄﾞﾗｲﾊﾞｰとしての資質が前提になることは変わらないと思います｡井出選手は02年にﾌﾗﾝｽのF3に挑戦していますが､この1年の経験はかなり大きかったのでは?
I:ﾁｰﾑのｽﾀｯﾌもｻｰｷｯﾄにいる関係者もﾌﾗﾝｽ人ばかりで､日本人は僕ひとりだけだったんです｡そういう環境で1年間ﾚｰｽを続けたことで､精神的に強くなったとは思いますね｡特に､ﾚｰｽの世界で日本人が向こうへ行くと､結構ﾊﾞｶにされるんですよ｡彼らに認めてもらえるまでに時間がかかるんです｡だけどﾅﾒられるのも口惜しいじゃないですか｡だから「絶対に速く走って見返してやる」って､最初からそう思ってましたよね｡で､そこで本当に結果を出すと､それまでの冷たかった態度がｶﾞﾗﾘと変わるんです(笑)｡かなり辛い1年でしたけど､ﾌﾗﾝｽで速く走れなかったら､日本に帰ってきても同じじゃないですか｡「ここで自分の力を見せつけてやる」という強い気持をもつことが必要でしたね｡
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