Y:でも、タフなレースを強いられた第9戦のアメリカGPで、表彰台に上がったじゃないですか。
S:そうですね(笑)。でも、あのレースは3位に入賞したけど、何て言うのかな、自分にとっては目標を達成した結果とは言えないんですよ。もちろん、凄く嬉しかったですよ、F1で初めての表彰台でしたからね。凄く特別だったし。表彰台から見た風景というのは、一生忘れないと思います。8戦目までは僕が凄く苦しんでいたのをスタッフたちがみな、知っていたんですよ。だから、結果が出せたのでスタッフたちが弾けた。そんな彼らが喜んでいる姿を見られたのは、やっぱり嬉しかった。同時に観客がね、満員のスタンドが揺れ動いているのを目にした時は、痺れましたね。それに、自分でつかみ取った表彰台だった。前がこぼれてラッキーで手にしたものじゃなかったし。僕の前というのは、完全にノミネートしているフェラーリ2台なわけですよ。チーム状態を考えると、これ以上にないリザルトじゃないですか。予選も3番手だったけど、セーフティカーが2回も入る波瀾のレースだったし、チームの戦略的なものも決していいわけじゃなかったし。だから、一時は11番手まで落ちて、それでも抜いて抜いてつかみ取った3位だったから、自分でも「やったね!」と嬉しさ爆発だった。でも、嬉しかったのは表彰台に上がる前までですね。自分が立っているところを見たら、その嬉しさも消えちゃった(笑)。だって、表彰台の中では、一番低いところに立っている。トロフィーも他の二人に比べれば小さいしさ(笑)。だから、「絶対にそっち側に行くぞ」という気持ちの方が強かったですね。やっぱり、一番大きなトロフィーが欲しい。ただ、ようやく自分の求めている場所に来れたという気持ちだったから、気分的にはアメリカGP以降も同じようにガンガンやっていくつもりだったんですけどね。初めての表彰台は、そこまで一生懸命にやってきたスタッフたちに応えられたというのが一番かな。
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