T:息子とは、合宿に来てから一回も話していません。電話したって別に何ができるわけじゃないし、声を聞くとかえって辛くなるので、電話はしないことにしているんです。でも、もう2歳なので、ワールドカップの時よりは聞き分けが良くなりましたよ。ただ、世界最終予選が終わって短い休みの後に、合宿に集合するのが辛かった。羽田まで主人と送りに来てくれたんですけど、「バイバイ」なんて言えないから、息子が分からないうちに飛行機に乗っちゃいました。その時は、ちょっとたまらなかったですね…。その後「母ちゃん、母ちゃん」と探したらしいですけど、父ちゃんに「母ちゃんは仕事に行ったんだよ」と聞かされたら大人しくなったそうです。多分「仕事=当分会えない」と子供心に思ったんでしょうけど…。
Y:辻さんを見ていると、色んな場面で「強いな」と敬服することが多い。どうしてそんなに自分を殺せるのですか。
T:母の影響かもしれませんね。父は私が小学校一年生の時に亡くなったので、兄と双子の私たち姉妹の3人を、女手ひとつで育ててくれましたから。事務職です。経理をやっていたので。だから、それほどお給料は良くなかったと思うんですよ。でも、私がバレーのシューズが欲しいと言うと、例えば八千円と一万円のものがあれば必ず一万円のものを買ってくれました。私は、安いものでいいというんですけど、母は「高い方が絶対足にとってはいいはずだ」と値段の張る方を選んでくれたんです。高校時代は、試合もよく見に来てくれました。遠征先にも来てくれましたよ。多分、そのために家計を少しずつ切り詰めて、貯金していたんでしょうね。そんな強い母の背中を見て育ったから、私も強くなったのかも。
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