T:柳本監督は「トップアスリートなんだから、これをやって当たり前」とか「アスリートはこういう心構えでいなくてはいけない」とよく言うんですけど、概念としては理解できるものの、私の場合はちょっとちがうなあ、と思ったりするんですよ。本音を言えば、私はVリーグ終了後、チームのコーチになろうと思っていたし、バリバリのトップアスリートでいたいというよりは、選手を育てる側というか、若い人を活かす道を探る時期になったと思っていたんですけどね。
Y:辻さんは、2歳という育ち盛りの息子を抱える母であり、妻であり、茂原アルカスのプレイングコーチでもある。全日本に合流するというのは、それらをすべて絶つという厳しい覚悟が求められます。
T:そうなんです。自分の中でそういう環境をよく考えながら、全日本の合流を決断したかったんですけど、何も言えないまま合宿に集合させられちゃいました(笑)。昨年のワールドカップの2ケ月前に急遽呼ばれた時は、ワールドカップ限定というか、その期間だけのためと思っていたし、試合にも出場できて「いい経験をさせてもらったな」と自分の中では終了していたんですよ。その後にすぐにVリーグが始まって、一試合でも多く勝つというのが目標にあって、結果的にはV1リーグとの入れ替えをやらなきゃならなかったけど、Vリーグが終わったら、自分の中では引退してコーチの道を歩もうかなと考えていたんです。でも、そんな気持ちの整理をつける間もなく、最終予選の集合の通達が来てしまっていたし。本音を言えば、家族にも次のステップを相談したかったんですけど、ただ、全日本への選抜は、チャンスといえばチャンスだし、何より、ワールドカップや最終予選で少ししかコートには立てなかったにしろ、チームのみんなが私の立場を分かってくれ「ありがとう」といってもらえたのが、私の中では凄く大きかった。コートに立って直接的には活躍できなかったけど、陰の部分で私の必要性を感じてくれ「もう1度、一緒に」と言われたことがずっと心に残っていたんです。
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