Y:マウンド上の表情を見ると、五十嵐投手は緊迫した場面が結構好きなんじゃないかと思っていました。
I:プレッシャーは嫌いだけど、ドキドキ感は好きかもしれない(笑)。ただ、緊迫した場面では興奮もするし、自分の中では盛り上がるんですけど、プレッシャーが好きか、と聞かれたら「嫌い」と答えます。でも、やっぱり、結果次第のところはありますね。厳しい緊張の中で押さえた時は凄く気持ちが良いんですけど、打たれた時とか負けた時は、逃げ出したくなるほど辛い。 ただ僕は趣味で野球をやっているわけではないので、どんな厳しい条件の中でも「やれ」と言われたらやるしかない。自分のモチベーションがマウンドに上がる日はすべて完璧であれば良いんでしょうけど、そうじゃない日もある。「身体のここが痛いな」とか「スパイクが今日はなんか合わないな」とか「グローブがしっくりこない」とかいろいろあるんですよ。でも、パーフェクトな状態でマウンドに上がる人はそうそういないと思うし、投手も野手も大なり小なり何かを抱えてグランドに立っているんだと思うので、結局はみな同じような条件ということになるんじゃないかな。
Y:マウンド上の度胸の良さを見ると、五十嵐さんは、小さい頃に塀から飛び降りたり、急な坂をブレーキをかけずに自転車で下りたりするのが好きだったんじゃないですか。
I:その通りです。ベランダの端っこを渡ってみたり、大きな橋の横を伝え歩いたり、危険なことが大好きでしたね。ハラハラドキドキ感がたまらない。大人に「危ないから辞めなさい」と叱られるとますますやりたくなるタイプでした。 好奇心が強いのかもししれません。「危ない」と言われると却って好奇心がくすぐられる。やってみないと気が済まないんですよ。そう考えると、やはり子供の頃からストッパー向きの素養はあったのかもしれませんね。 実際、マウンドに上がった時は、やはり緊張もするし、ドキドキもするし、いろいろ考えたりしてはいますけど、表情には出さないようにしています。どんなに追い詰められた状況になっても、飄々と投げる投手でいたいと思うし、意識してそういう態度をとっています。
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