Y:セッター向きの強気な性格はその頃から培われていたんですね。五輪をもっと具体的に意識し出したのは?
T:高校3年の時に、世界ユースに出場する全日本ユースのメンバーに選ばれて、フランスで試合をしたんです。私にとっては初めての世界大会でした。イタリア、ロシア、キューバ、中国など世界の強豪が顔を揃えていて、こんな人たちと対戦しなければならないのかと初めはちょっと引けていた部分もあったんですけど、でも、いざ試合が始まってみると日本のチームワークで強豪国の高さとかパワーを抑えることができた。それで、優勝しちゃったんですよ。金メダル持って帰ったら、高校の先生に「今度はオリンピックだな」と言われ、それからすごく意識するようになった。NECに入社した年に、アトランタ五輪に出場するメンバーがNECで合宿をしたんです。トモさん(吉原知子)やイクさん(成田郁久美)もいて、彼女たちの動きを、目を皿のようにして見ていましたよ。「この人たちがオリンピックの舞台で戦うのだ」って。やはり何か、緊迫感というか緊張感というか、日の丸を背負う人たちのオーラはすごいなと思って、一挙手一投足を凝視していましたね。その時も、アトランタ五輪の切符を取る世界最終予選前だったので、体育館の中はピリピリした雰囲気だった。でも、このときも世界最終予選を通過しなければならなかったにしろ、日本がオリンピックに行くのは当たり前だと思っていました。オリンピックでのバレー競技の主役は日本、みたいなね(笑)。だから、一ファンのような感じで最終予選の応援にも行きましたよ。ただ、自分に関して言えば、社会人になった途端に、自分と先輩選手たちのレベルの違いを見せつけられた。「中学や高校の時に、オリンピックでトスを上げたい」と思ったことが、なんて浅はかな考えだったんだろうと自己嫌悪に陥りましたもん。でも、早くそのレベルに達したいと練習だけは必死にやっていました。
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