Y:でもランナーによって刺すタイミングは微妙に違うような気がします。その判断は何が基準になっているのか不思議でした。
F:変えていると言っても多少ですよ。まあ、長年やっていると、そいつが走る癖というのもわかってくる。でも、100%刺せるかといったらそうじゃないし。正直に言うなら、僕は盗塁阻止にそんなに必死になっていませんね。2アウト・ランナー一塁より2アウト・ランナー2塁の方がずっと損じゃないですか。だから向こうもリスクを犯しながら仕掛けて来るわけですけど、それを阻止するために色々やることの方が、リスクを背負うことにもなりかねない。単純に言えば、走ると想定してピッチアウトしますよね。極端な話、1球目から4球目まで全部ピッチアウトすればどこかで走るかもしれない。でも、走らなかったらフォアーボールになって、1、2塁になってしまう。もうちょっと普通の話をしても、例えば1球ストライクに入った。2 球目、ピッチアウトした。3球目、ストライク。次にピッチアウトした。そしてフルカウントになった時に、それで仮に刺せたにしても、そういうのはピッチャーが嫌うんです。ピッチャーは純粋にバッターと勝負したい。ランナーを気にしてピッチアウトばかり要求されると、そのことによって信頼感が失われることもある。「コイツはピッチアウトしないとランナーは刺せないのかな」と思いながら投げるのと「普通に投げても難なく刺してくれる」と思って投げるのでは、マウンド上の心理はエラク違う。だからあまりそういうことはしたくないですね。たまにしますけど(笑)。
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