Y:冷静沈着な古田さんを乱すには、そういう手があるわけですね(笑)。ところで選手会の会長として「プロアマ規定」を46年ぶりに取り払った。野球界の「ベルリンの壁」を打ち破った意味はとんでもなく大きい。
F:わかってくれますか(笑)。あの価値をいまいち理解していない人が多いんですよね。同じ野球をやっているのに、プロとアマは46年間も接触もできなかったわけですから。でも、この規定を打ち破ることができたのは、僕個人の力ということではなく、プロ野球選手760人の願いが結集されたということでもあるんです。今までに、選手会の声を色々拾ってみますと、今のプロ野球の制度でもいい部分はたくさんあるんですけど、でも、将来的に高校生やアマチュアを教えてみたいという選手がすごく多かった。当たり前ですよね、プロでこれだけ技術を磨いて、野球の奥義をつかんだ人はたくさんいますから、それを若い人たちに伝えたいと思うのは。社会還元にもなるじゃないですか。ところがプロ出身者はアマチュアと接触することを禁じられていた。教えたくとも教えられないんですよ。3年前から高野連の人たちと話し合いを始めました。選手会の事務局長の松原さんが足繁く通って、なんとか高野連の人たちに信用してもらえるようになった。野球って、ちょっとしたアドバイスで上手くなるスポーツなんです。コツを見つければ上達が早い。だから成長期の頃にいいコーチに出会うのが一番大事だと思いますね。だからこそ、プロで研鑚を積んだ人こそ適任だと思うんです。もちろん、指導者としての資質に優れた人じゃなければダメという条件はありますけどね。このシーズンオフには、大阪と東京でプロ選手たちと高校生のシンポジウムをしましたし、選手個々が直筆でメッセージを綴った「夢の向こうに」という本を高校生達にプレゼントし、全国の1300校にはボールを寄贈しました。その資金の捻出に選手たちがグッツを提供してくれ、それをネットオークションにかけて、ボールと単行本を送ることができたんです。こんな僕らの気持ちを機構側もわかってくれたみたいで、それからはイッキに雪解けムードになったんです。
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