Y:ZONEと言う世界をご存知ですか。あるいはフロー、ピークエクスペリエンスとも言われていますけど、端的に言うなら「ボールが止まって見えた」という世界です。
F:感覚的にはわかる気がするけど、実際にボールが止まって見えたことはありませんね。でも、ボールがスローな感覚でヒュッと飛んでくるというのはわかりますよ。「ウワッ!」というボールがヒットになって、本当に僕が当てたの?というのもあるし。でも、それがいわゆるZONEの世界だとは思わないし。ただ、試合中に音が消えるという現象はしょっちゅうありますね。観客の声も応援歌も何も届かず、真空管の中に閉じ込められた感じ。でも、集中すればみんな、そんな状態になっているんじゃないかと思いますけど。慣れもあるんじゃないかな。僕は相手の応援が激しいのは全然苦にならない。嫌がる投手は多いけど、僕は平気です。むしろシーンとした中で試合をする方が苦手です。シドニー五輪のアジア予選の時に、韓国で日本・台湾戦をやったんですよ。観客はいない。五輪切符がかかったプレッシャーの高い試合。もうドキドキでした。ピッチャーが焦っている時には彼の鼓動まで聞こえてきそうで、メチャクチャ嫌になりましたよ。今までの野球生活であの時が一番緊張したかな。マスクを被りながらことの重大さをわかっているじゃないですか。負けたらオリンピックに行けない。おまけに場内はシーンと静まり返っている。僕のドキドキも耳に届きましたもん。
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