Y:元横綱だった花田勝さんに、現役時代は遺書をしたためて土俵に上がっていたと聞き、驚いたことがあります。相撲って、命の危機にさらされるほど実は、負荷の高い競技なんですよね。
T:人間の力対力のぶつかり合いですからね。だからほんの些細なことで狂ってしまうこともあります。ぶつかった時の衝撃はすごい。相撲界で長くやれる人間はごく稀です。身体が長く持つような競技じゃないし。それに実力がなくなったらすぐに落ちる世界。例えば横綱になっても、安泰な世界ではない。僕だって今は幕内にいますけど、この先どうなっているかわからない。落ちているかもしれないし、上がっているかもしれない。もし幕下に落ちるようになると給料とかいろいろな特典がなくなって、その段階でクビになってしまうような世界ですから。そういう微妙なバランスで生きているようなものですからね。だから花田さんが遺書でも書きたくなるような気持ちもわかります。でもその一方で、厳しいからチャンスもあると言える。生存競争は激しいけれど、だからこそチャンスも大きい。もし関取に上がることができたらお金とか名誉とか、いろんなものがついて回る。こう言ったらなんなんですけど、チャンスがぶら下がっているからこそ、辛くともやれるのかもしれない。
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