Y:これまでコーチもつけず、たった一人で練習を続けてきた清水選手が、若手と一緒にやろうと思ったのはなぜですか。
S:ソルトレイク五輪のあとに、僕の技や考えをそっくり注ぎ込んだ若い選手を育ててみたいと思ったんです。スケートというのは感覚で左右されることが多い競技なので、言葉で伝えられないことがいっぱいある。色のついていない真っ白な子供に、僕の感覚を注ぎ込んで育ててみたいと思った。でも、現実的には僕もまだまだ現役生活を続けていますし、子供を教えるのは物理的に無理。ならば、若い選手たちに伝授していくのもひとつの方法かなと考え直したんです。僕にこんな考えが起こるなんて、僕もそれだけ歳をとったということなんですかね(笑)。決定的だったのが、前シーズンの世界距離別選手権。シーズン最後の国際大会だったんですけど、僕ももう体力が残っていなくて2位。しかし、それ以上にショックだったのが日本人選手の惨敗でした。加藤が7位で、あとは全員が10位以下。このままでは、スプリント王国を誇っていた日本が先細りになってしまうと、強い危機感を持ったんです。いや、もう凋落が始まっているのかもしれないと、恐くなってきた。そんな中で自分がやれることといったら、後輩たちを育てることじゃないですか。それまでは各自が、所属企業や大学でバラバラに練習をやっていたんですけど、一緒に練習できないかな、と思ったんです。せめてナショナルチームのメンバーだけでも一緒に練習できれば、互いに啓蒙し合えますしね。だから、距離別選手権のあとに、小林、加藤、川田に声をかけてみたんです。
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