Y:でも、清水選手は昨年4月末のトレーニング開始の時から「世界スプリント選手権で総合優勝する」と公言し続けて来ました。相当な自信と思っていますが。
S:ははは。本音を言えば自信なんかないですよ。言い切っただけです。でも、そう言い切ることによって、自分にプレッシャーをかけたかった。シーズン前に公言してしまえば、トレーニングの意識が変わるじゃないですか。もちろん、自分で決めたトレーニングメニューに対し、妥協するということなんて有り得ないんですけど、練習の濃さや深さが無意識に違ってくる。それに地元開催ですからね。こんなチャンスはめったにない。日本の人たちに、スピードスケートを知ってもらう大きな機会だし、日本人選手が優勝すれば盛り上がるじゃないですか。だから、総合優勝は、今回だけは誰の手にも渡したくない。それと、どうしようもないほどの緊張感に入れるというのも楽しみなんです。自分の精神状態が、ピアノ線のようにピーンと張り詰めた状態になるのはとてつもなく不安だし恐怖だけど、その一方で、そんな追い詰められた環境の中で、自分が何を考え、どんな行動をとって行くのか、それを知るのは結構面白いんですよ。「へえー、俺ってこんなことでセンシティブになっているなんて、意外と気がちっちぇな」とか、もう一人の自分に見つめさせるのが面白い。もちろん、いつもの試合でも緊張しますけど、その比じゃない。そんな精神の極限状態が味わえるのは、やっぱりオリンピック。でも、4年に一回しかないじゃないですか。だから、今回の世界スプリントはその中間年として、精神に刺激を入れる意味でも貴重な大会だと思っています。
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