YOSHII:これまでの国際試合でターニングポイントになったゲームはありますか。バレーに対する考えが変わるような…。あるいは新たな自分に出会えたような。
YAMAMOTO:あります。去年の世界選手権のブルガリア戦です。アルゼンチンで開催された大会で、日本は第一次予選は突破したものの、第二次予選ではイタリア、アルゼンチンに負け、残るブルガリアに勝っても決勝ラウンドには進めない試合だった。まあ、消化試合みたいなもんです。普通なら、当然、モチベーションも落ちますよね。しかもその時、僕は、脛(すね)が疲労骨折の寸前まできていて、ドクターストップがかかっていた。でも、僕はこの試合にどうしても出ておきたかった。もちろん、最後の試合だからこのまま終わりたくないという気持ちもあったけど、ブルガリアはアテネ五輪の最終予選で当たる可能性のあるチームだったからです。ブルガリア戦で、本当の自分を試してみたかった。試合内容は厳しいものでした。シーソーゲームが続き、セット数も2-2。第5セットに入って日本が11-9に引き離された時に、セッターに「全部自分に上げてくれ」と要求したんです。夢中で打ちましたね。気がついたら17-15で日本が勝っていた。自分でも、どうしてそんな行動をとったのか明確には答えられません。ただ、納得して終わりたいという気持ちが突き上げてきて、「全部自分に持って来い」と言っちゃったんです。スーパーエースというポジションですけど、コート内は先輩たちばかりだし、自分のプレイに自信はないし、それまではトスを上げられたら打つ、という感じだったけど、「全部自分に上げてくれ」なんて恐ろしいことは言えませんでしたから(笑)。でも、あの試合をきっかけにして、自分のプレイにある程度、自信が持てるようになったし、バレーへの取り組み方もちょっと変わってきました。
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