YOSHII:吉原選手は95年に在籍していたセリエA・ローマでは『ナポリ』と呼ばれていた。ずるいとか、騙す、という賞賛を込めた意味のあだ名ですが、それだけローマでは活き活きと自由闊達に、それこそ相手を騙すほどに奔放なプレイをしてた。でも、帰国したらまた、大人しくなっちゃった(笑)。
YOSHIHARA:国民性の違いというか環境の違いは大きいですよね。イタリアでは存在をアピールしないとコートには入れないし、自分の考えをきちんと伝えないと、相手の意見を認めたことになってしまう。だから練習ではガンガン言い合う。ローマに移籍したばかりの頃、こんなに喧嘩ばかりして本当に試合が出来るんだろうかと心配していたけど、コートに立てば呼吸が一つになっている。練習で突き詰めてやっているから、逆に試合では、楽になるんだということが分かりました。「勝ちたい」というベクトルが一緒だから、練習で罵り合いをしていても、ロッカーに戻ると皆何事もなかったようにケロリとしていられる。あの時に「プロ」の精神というものや、イタリアの本当に強さを垣間見たような気がします。
YOSHII:吉原選手はローマのサポーターにも人気がありましたよね。追っかけも随分いました。
YOSHIHARA:サポーターが選手を育てるというのもイタリアで知りました。私のファンとは言え、私がミスをすればブーイングだし、汚い言葉も浴びせられた。その一方、ナイスプレイをすれば「ニエンテ、ニエンテ」(いいよ、いいよ)と拍手してくれる。イタリアは実力主義だからやりやすかったですね。でも、私はプレイに対する精神はイタリアでも日本でも変わらないつもりでいます。たださっきも言ったように、口下手なので、身体を動かすことによって、後輩たちには教えるようにしています。もちろん、最近は口でもアドバイスするようにしていますけど、基本的には「背中から学んでくれ」ということでしょうか(笑)。
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