YOSHII:他の競技の選手たちも、同じような悩みを抱えています。
YOSHIDA:でも、思っていても声を上げていかないと誰も振り向いてくれない。行動しないことには何も変わらないと思ったんです。批判がきたらその時に、なぜそんな意見が出るのか、と考えればいい。行動を起こすことによって議論が生まれれば、一歩前進です。ただ、一番嫌だったのが「前例がない」という発想。前例がないなら作ればいいじゃないですか。経済にしても政治にしても、日本はシステムが大きく変わりつつある。組織が強固な政治や経済さえ変化しているのに、スポーツ界が変われないことはないと思う。もともと、性格的にも枠というのが大嫌いなので、枠があると壊したくなっちゃうということもあるんですけどね(笑)。
YOSHII:その第一歩が、世田谷区に開いた「吉田道場」。
YOSHIDA:現役時代に、柔道人口が減っていることは薄々感じていました。特に、子供たちの柔道離れが大きい。もちろん、連盟などが色んなところで柔道教室を開いていますけど、子供たちが集まりにくい。当然ですよね。今の子供たちは痛いのが嫌いですから。だったら、メダリストの有名選手を指導者にして惹きつけ、柔道教室を開けばいいと思っていたんですけど、柔道界はヒーローを作っちゃいけないという暗黙の了解があるんです。メダリストであってもなるべく目立たないように自己規制してしまう。でも、有名人にならないと子供たちは憧れないし、柔道教室にも来てくれない。そんな矛盾に柔道界は気がついていないんです。いや、気がついているのかも知れないけど、その殻を破ろうとはしないですね。
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