第一章「38度線の密室」
取材班は高麗大学の女子学生・金眠智(キム・ミンジ)の案内で38度線に向かった。ソウルからバスで1時間半。そこからタクシーで20分ほど走ると、視界を遮るように鉄条網と金網の壁が現れた。ここが朝鮮戦争の結果、国連が設けたDMZ(非武装地帯)だ。ソウルの市街から意外と近い。
軍事境界線は韓国ではJSAと呼ばれるが、国際的には「38度線」という通称が最も馴染みが深い。
「壁」の途中にはゲートが設置されている。もちろん警備はソウルでは想像もつかないほど厳重だ。
「撮るな! 撮るなと言っているだろう! 身分証明書は!?」
カメラを構えるとすぐに韓国軍・警備隊の若い兵士が駆け寄り気色ばんで制止した。大成洞の住人であるミンジ以外、韓国市民であっても申請がなければ進入を禁止される軍事エリアだ。
30分後、身元と申請の確認が終わり、ようやくゲートが開く。我々は警備兵と共にDMZの内部に足を踏み入れた。

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