【番組内容】
「プロローグ 2006年春。ソウル」
春。新入学の季節。世界中どこの大学でも学生は不安と期待隠すかのように少しかしこまって自己紹介をする。韓国・ソウルの名門私立大学・高麗大学の学生ラウンジでもそんな光景が繰り広げられていた。
そしてお決まりの質問。「出身は? どこ」…ソウル、釜山、大邱、大田…韓国中の地名が次々と語られるうちに一人の女子学生が言った「私は・・テソンドン・・」
その場に居合わせた学生たちは誰もが首をかしげた。
「テソンドン?って」
「DMZ…非武装地帯の中にある村なの。知らないよね」
次の瞬間、学生たちの口から一斉の驚嘆の声が挙がった。
「DMZって38度線の?」
「嘘だろ。あんな所に人が住んでいるの?」

ソウルオリンピックの頃に生まれた彼らは、韓国では「新世代」と呼ばれている。朝鮮戦争はもとより、東西冷戦も北朝鮮の驚異も実感としては教科書の記述に過ぎない。国策として極端な対日・反共教育がなされた世代ではもはやない。祖国を分断している「38度線」は知っていても、それは映画の世界。そこに数奇な運命を背負った村があることなど知るはずもなかった。

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(C)フジテレビジョン