海峡を渡る
バイオリン
「最初は生計を立てるために助監督をやりながらロケマネージャーを始めたのですが、ある時、世界を見る目が変ったのです。カザフスタンに行きロケハンをしていた時のこと。砂漠の中を歩いていたら偶然夕立ちにあったのです。雨がやんでみると、遊牧民たちがいるところに虹がかかっていた。その時に地球の一部の中の小さすぎる私の存在と、小さい存在の私がいる自然の美しさに気づいたのです。韓国に帰ってきてからも、今まで通り過ぎていた街の景色、葉の一枚一枚、そういったすべてのものが大切で、単にいい景色、ということで終わらない感動を与えてくれるのだ、ということを感じました。それを知ったことが自信となり、今この仕事をしているのです。」
そして
「ぼくらの仕事を皆さんに見せられる。良い作品をつくることが日本へのプレゼントです。」
と結んでくれた。
そんな話をしている間も、言葉の壁などまったく感じさせずにじゃれている2人を発見する。日本人の制作担当 松岡利光は、
「大変な苦労をしたのは、ハイビジョンで撮影するために日本から中継バスをそのまま韓国まで持ってきたこと。」
と語りながらも、
「現場では本当に韓国スタッフがすばらしかった。ぼくたちのわがままを全部聞いてくれていたのが彼です。」
と、じゃれていた相手を紹介してくれた。
フロアディレクター キム・ジュンボン氏。
「意見が違う、文化が違うのは当然のこと。その上で、今回はサポーターに徹して日本スタッフがやりたいようにできるように協力しました。」
と、こともなげに話すが、いろいろな葛藤もあったことだろう。
「食事のとり方、移動方法など違いはいろいろありながらも、うまくいきました。日本スタッフとは言葉は通じなくても目を見れば分るようになりました。」
と微笑みを返してくれた。
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