[0.TOP|戻る]
プレミアムステージ特別企画
犬神家の一族
■インタビュー■
星 護 〜監督〜
Q.金田一のキャラクターはこの作品の重要なファクター。今回こだわったことは?
A.原作の中の金田一は、風采のあがらない小柄な男、頭をかくとフケが落ち、あまり清潔なタイプではない、ただ人懐っこい笑顔で親しみがある表情を持つ男として描かれています。そこで吾郎君ということで二つの案を考えました。一般的なイメージで言うと、吾郎君というのは…すかした感じが魅力的なスタイリッシュな男です。私が監督した別な作品(『ソムリエ』1998年)でも、そのスタイリッシュさに心から魅せられてしまい素晴らしいと感嘆させられました。あんなに白と黒の服の似合う男、そしてワインをきどった口調で語るのが上手な人に会ったことがない。びっくりしました。それは素晴らしい体験だった。それをもとに私が吾郎君に一番魅せられた面をそのまま活かすのか、あるいは全く別の面を見せるのか、悩みました。
結果から言えば、石坂さんや古谷さんとはまた違う、人懐っこい笑顔も見せる反面、しっかりとその頭脳で推理し、人々の動きをじっと静かに見ている男…つまり「脇からみている男」という面が強調された金田一になったのではと思います。石坂さんや古谷さんが人柄で勝負したとしたら、こちらは観察し推理する論理の男とでも言いますか。それは稲垣流に自然と、そうなっていたんではないかと思います。
Q.久しぶりの役者・稲垣吾郎の新しい発見はありましたか?
A.以前、『ソムリエ』を演じてもらってから6年の時間が経ちました。今回久しぶりにお会いしてやはり大人になったなと思いました。若い時のきれいさだけではなく、うまく年を取った魅力が備わってきていると感じました。それと役に対するひたむきさ。今回は撮影に際し、それほど深く話し合って臨んだわけではないのですが、その中で感心したのは、監督と役者の関係の中でも、お互いに触れないディテールの芝居っていうのがあるんですが、たとえば台詞を言った後のちょっとした顔や目線の動きなどですね、それが見事だったんです。犯人をつきとめたときの、あの表情、目の据わったあの顔…忘れられません。勝負をかけた探偵の瞬間・・・その時は、監督の私も「これみたぞ!」と、単なる観客の一人になっていました。
[前へ|次へ]
[0.TOP|戻る]
(C)フジテレビジョン