一方「熱帯低気圧」は、海からの水蒸気がエネルギー源です。
広い海の温度を1度でも上げるには膨大なエネルギーが必要です。実際には、太陽が海を温めているわけですが、日本中の発電所を使ってもこれほどには温まりませんからものすごいパワーなのです。ですから海の温度が1度上がればものすごい量の湯気が海から上昇して雲を作ります。その雲が雨を降らせると、凝結熱という熱を大気に放出し、暖かい空気は上昇しますから海からの水蒸気をさらに上昇させます。
熱帯では、雲の発達が始まると、次から次ぎへと自己増殖が起きるのです。
これに地球の自転力(コリオリ力)がきっかけになって、左回転が起こり、回転が始まると地表面(海面)との摩擦によってベクトルが回転の中心に向きます。底が平らな湯飲みでお茶を呑む時、お茶の葉が底にあったら箸でかき混ぜてみて下さい。
お茶の葉はどうなると思いますか?
遠心力で葉っぱは外に行くように思えるのですが、正解は逆で葉は中心に集まってくるはずです。これは、お湯と湯飲み茶碗との摩擦によるものです。同じ力で中心に向かえば、力が集まりますのでので、風速は強まり、これがさらに回転する力の手助けをすると同時に上昇気流も手助けします。つまり「熱帯低気圧」は、自己完結型で、悪循環によって発達するのです。「熱帯低気圧」と「温帯低気圧」は、このように発生・発達のシステムの違いが呼び方の違いです。
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