優しい時間
-#10 刺青-

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焼き物に没頭する拓郎の元を朋子が訪れた。陣中見舞いと言いつつ、拓郎の刺青を確認するためだった。シブシブだが、拓郎は腕を捲り上げて刺青を見せた。
「あんた、これを父さんにいきなり見せたんだって。どうして?」。
拓郎は「お母さんに刺青を見せてれば、あの事故は起こらなかった。錯乱した僕は、もう隠すまい、父さんを見たら見せなければって……」と答えた後、「父さんが言ってましたか、そのことを。やっぱりそのことなんですね」。
朋子が帰った後、拓郎は、ぼーっと燃え盛る窯の温度計を見つめていた。

そのころ、勇吉は一人で暖炉の火を見つめていた。そして、めぐみの火葬された場面を思い出していた。「熱いんだろうな、ここで焼かれるのは……」。

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