優しい時間
-#1 雪虫-

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涌井勇吉(59・寺尾聰)は、ニューヨークを始めとする海外駐在を永く経験してきた総合商社のエリートビジネスマンだったが、3年前、57歳の時に突然会社を退く。原因は愛妻の死。妻・めぐみ(当時47・大竹しのぶ)が息子・拓郎(当時18・二宮和也)の運転する車の事故でこの世を去ってしまったのだ。めぐみ47歳、拓郎18歳の時の出来事だった。

勇吉は、定年後約束されていた子会社への転職の誘いも断り、めぐみの故郷である富良野に移住してコーヒーショップ「森の時計」を開いた。一方、拓郎は、母の親友であり、「北時計」というコーヒーショップを経営する朋子(余貴美子)の紹介で、富良野から50キロ離れた美瑛という町にある窯場「皆空窯」で、陶芸家の見習いとして修行を始めていた。事故以来、拓郎とは一度も会っていない勇吉は、もちろんそのことを知らなかった。

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