ヴォイス
第3話
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翌朝、工場の片隅で寝ていた大己に、佳奈子から連絡が入る。雪子が使用していた手袋から検出された成分の分析結果を知らせる電話だった。大己は、その中にシールの裏にある糊の成分が含まれることが気にかかる。やがて、ある確信を得ると、佳奈子にこちらに来るように言う。

大己は、やって来た佳奈子を連れ再び八木を訪ねる。そして、事故があった日、雪子は工場にいた八木と残業をしていたのではないかと切り出す。当日に納品された椅子の検品シールに雪子の筆跡があったこと、雪子の手袋に作業上付着するはずがないシールの糊の成分があったことを挙げると、八木は口を開く ――。あの日、八木がパイプ椅子の納品に向かおうとすると雪子に呼び止められた。椅子に貼られた検品シールが古い規格のままになっていたからだ。時間がないから見逃してくれという八木を、雪子は叱咤。自分もやるからと言って、就業後にも構わずシールの貼り変えを手伝ってくれたのだ。数時間後、貼り変えは終了し、八木は片付けを雪子に任せると納品に向かう。ところが1時間後、工場内に戻って見ると、雪子は資材に下半身を挟まれ倒れていた。八木が資材をどけると雪子は意識を回復し、元気な様子を見せる。それでも心配した八木は雪子に病院へ行くようにすすめるが、雪子は大丈夫だからと繰り返し、八木に帰宅を促す。しかし、それが雪子の最後の言葉となってしまう。自分が余計な仕事をさせたせいで心臓発作を起こしたのではと思うと、怖くて言い出すことができなかったと言う八木。佳奈子は八木に、もっと早く話して欲しかったと言いながらも、雪子の死因はクラッシュシンドロームだっただろうと明かす。

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