ヴォイス
第1話
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後日、大学にいた大己は佳奈子から、市原が額以外にも、鼻骨、鎖骨、頚椎、そして左右前腕の外側の骨である尺骨も骨折していたと聞く。落下物を認め逃げようとすれば、両腕の外側を骨折することはありえないと、大己らは疑問に思う。そして、亮介に促された哲平が両手を高々と上げ、発見された当時の市原の様子を再現して見せる。その姿はまるで、天に雨乞いをする人のようだった――。
それを見た大己の脳裏には、さまざまな情報がフラッシュのようによぎっていく。そして、それがひとつになったとき、あることがひらめく。そして、「受け止めたかったんだ」と確信に満ちた表情で言うと、どこかへ走り去る。亮介らは、わけもわからないままその後を追う。
大己らがやってきたのは、市原の別れた妻・川鍋秀子(美保純)のアパートだった。部屋に通された5人は、かつて市原と秀子の息子がベランダから転落死していたことを聞く。当時、小学1年の息子は、野球好きの市原から与えられたグローブとボールで遊ぶうち、ベランダに出たボールを捕ろうしてあやまって転落してしまったのだ。それを知った市原は自分を責め、以来、野球嫌いになったという。そして、夫婦は息子の死を乗り切れずに、事件からほどなくして別れてしまった。市原は、最期までかわいそうな人生だった…秀子がそう言ったとき、大己がそれを否定し、市原はひとりの命を救ったのだと話す。
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