ヴォイス
第1話
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佐川は学生たちに、法医学の第一義は、人の死因を解明することだと説明。日本では、制度の未整備などにより異状死した遺体の約1割しか解剖されないが、死者の体はその人が最後に伝えたかった言葉を明確に語りかける、その法医学者にしか聞こえない言葉や声をつなぐのが自分たちの仕事なのだと教える。

その後、解剖室を見学した学生たちは、玲子からこの解剖室で年間約300体の解剖が行われると聞かされ肝を冷やしながらも、簡単な作業を行う。そんな中、玲子が大己に、ある組織を実験室に運ぶよう指示。大己が実験室に入ると、技官の蕪木誠(泉谷しげる)は、ヘッドホンで音楽を聴きながら顕微鏡を覗いていた。

そんな折、佐川に南府中署の刑事・大和田敏(山崎樹範)から連絡が入り、他殺の可能性がある男性遺体の解剖を頼まれる。やがて、運び込まれた男性・市原(モロ師岡)は佐川の手により解剖され、それを側で見る大己らの脳裏にはさまざまな思いがよぎる。

解剖が終わり研究室に戻った大己らは、およそ30sの落下物が当たったことで死亡したと思われる市原の死因について推測し始める。大己は市原の額が陥没していることに疑問を感じる。落下物は普通、頭頂部に当たると思うからだ。額が陥没した理由は、宙を見上げていたからに違いないと言う結論には行き着くが、それ以上のことはわからない。

そこで、大己、亮介、哲平、彰は市原の死亡現場である建設中のビルの前にやってくる。その高さ10メートルほどのビル屋上からの落下物に当たり死亡した市原は、ビル前にある花壇に向かい、膝を地面につけ手を伸ばし、突っ伏すように気を失っていた。その姿は祈るようで、表情は微笑んでいるように見えたという。大己は、その話を聞きながら、周囲に置かれた花束を見つめていた。

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