ゾウのはな子
- ものがたり -

そんな時、園長の西村(堺正章)が飼育員全員を集めた。一か月後の8月31日までに猛獣処分せよ、との通達が都から下ったのだ。亮平をはじめ、飼育員たちは、地方の動物園への疎開など、なんとか動物たちを守ろうと考えるが、都の命令には逆らえず、ついに動物たちへの毒殺が始まった…。
いよいよ象の番になった。しかし、賢い象は、毒の入った食べ物を決して口にしない。もう象以外、ほとんどの猛獣は処分されていた。注射針も象の皮膚には通らず、餓死させるという最も残酷な方法しかなかった。象たちは亮平に芸当を見せてはご褒美の餌をねだった。何もすることができずに苦しむ亮平。日に日に痩せていく象。
「どしーん」という音とともに、まずはジョンが倒れた。弱ると、一度倒れた象はもう自力では起き上がれない。残った花子とトンキーは、どちらかが倒れないように身体を寄せ合い、立ち続けたという。しかし、トンキーに続いて、昭和18年9月11日、とうとう花子は餓死した。

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