ゾウのはな子
- ものがたり -

東京都武蔵野市・井の頭自然公園。この小さな動物園の片隅でひっそりと生きている一頭の老象・はな子。その周りではこどもたちが笑顔で手を振っている。しかし、この象の話をする前に、もう一頭の"花子"の話から始めなくてはならない。それはこの国が戦争をしていた頃の話…。

今から65年前の昭和16年、太平洋戦争が始まった。
昭和18年、夏。
上野恩賜動物園・象担当の飼育員である吉岡亮平(反町隆史)は、人間でさえ食べるものに困っているなか、空腹に耐えられない動物たちのために生ゴミを漁っては、仲間の飼育員に分けてやっていた。戦争中でもお客がいる限り、動物園は開いていた。なかでもジョン、トンキー、花子の三頭の象は一番の人気者だった。象舎の前には、いつものように和夫(大嶋捷稔)という少年の姿があった。和夫には象と同じ花子という名の妹がいた。しかしその妹は身体が弱く、まだ本物の象を見たことがなかった。

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