親父の一番長い日
- あらすじ -

そして現在、千晴は24歳。デパート勤務。千晴には付き合って2年の恋人、平賀健吾(高岡蒼甫)さんがいる。平賀さんは、同じ会社の営業マン。物腰が柔らかくて優しく、さわやかな好青年。幼い時に父親を亡くした平賀さんは、千晴の父親と本当の親子になるのが夢だと言う。その平賀さんにプロポーズされたが、親父のことが気掛かりな千晴。これまで親父には、彼氏の存在を悟られまいと懸命にやってきた。知られれば反対されるに決まっている。千晴は僕に相談にきた。僕は「任せろ」と胸を叩いた。僕が結婚することになっている尚子(中山忍)の後押しもあり、妹のためにも絶対に認めさせると鼻息荒く、実家へと向かう。僕は親父にそれとなく尋ねる。「もし千晴に恋人ができたら…」その言葉が言い終わらないうちに僕は吹っ飛んでいた。「千晴に恋人なんて絶対に許さん!!!!」頼りない兄の姿を見て千晴は誰にも頼らず、自分で説得するしかないと決心する。
「こうなったら強行突破だ。平賀さんと会って親父に会う日取りを決める!」と。さらに、「抜き打ちで家へ連れて行き、親父に認めさせる。これしかない」と決心を固める千晴。
大のジャイアンツファンで野球好きな親父は、毎週日曜日は草野球だ。ある日曜日、そのグラウンドへ千晴が平賀さんとやってきた。白熱した試合の真っただ中だったがマウンド上の親父は、千晴が男連れであることに気づく。事もあろうに2人は手をつないでいた。われを失った親父はマウンドを降りて客席へ。紹介するつもりがつかみ合いの大騒ぎに。そのうち試合放棄だと相手チームも飛び出してきて大乱闘になってしまった。

家に帰っても、千晴と親父の口げんかは止まらない。親父に、千晴は怒り心頭。とうとう千晴は言い放つ。「私、お父さんが何と言っても結婚するから!」「駄目だッ! 許さねぇッ!」「この石頭!」「出て行けッ! そんなに結婚したいのなら勘当だ!」千晴は荷物をまとめると、何と本当に出て行った。僕は母に頼まれ後を追う。「親父に対して意地張っているようにしか見えないよ。家に戻るぞ」「あんな石頭の顔なんか見たくない!」「どうせ明日、親父に会うんだぞ?」「…?」

翌日は僕の結婚式。案の定、千晴と親父は結婚式の最中もにらみ合いを続けた。おまけに、僕と新婦・尚子の神聖なる口づけの瞬間、千晴と彼のそれを思わず想像してしまったらしい親父は「許さん!」と奇声をあげ、さんざんな結婚式となった。困った僕は、2人を外に出して落ち着けようとする。

その時、千晴の携帯が鳴った。なんと平賀さんが取引先で事故に遭い、危篤状態だという。病院に駆け込んでくる千晴と親父。手術中を示す赤ランプが点灯している。千晴は胸が張り裂けそうになるのを平賀さんの母親、幸江さん(星野知子)の前では何とか踏みとどまっていたが、親父と2人きりになると、千晴は肩を震わせて泣くじゃくった。

「…お父さんどうしよう…健吾が、もし…もしも…」悲しみに打ちひしがれた娘を見て、親父は「大丈夫だ」と一生懸命励ました。

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