親父の一番長い日
- あらすじ -

翌朝、平賀さんの意識は戻る。今までと変わらない笑顔で、ベットサイドで寝ていた千晴に微笑んだ。慈しむように恋人を見つめる千晴。

千晴は夕食の茶の間で平賀さんの回復は良好だと伝えた。ほっとする家族。が、喜んでいたのもつかの間、千晴はさらに「下半身不随で、一生、車いすでの生活なんだって」とさらりと告げる。彼の下半身はもう動かない、とも。あまりに平然と言ってのけた千晴だったが、親父はもちろんのこと、一瞬にして茶の間に張り詰めた空気が流れた。しかし場の空気が沈んだのを察した千晴は笑いながら明るく言う。「命が助かっただけでも奇跡なんだって」。気丈な彼女の姿を親父は静かに見ていた。

その夜ひとり仕事に没頭する親父におふくろが言う。「千晴はもう、私たちが思ってるほど子供じゃないのかもしれませんね」。しかし親父は認めない。「まだ子供だ。あいつは病院で肩を震わせて…。俺がいなきゃどうなっていたか…」とつぶやく。

千晴は、その夜、親父に結婚の決意は変わらないと告げる。しかし親父は結婚には反対だと言い放つ。千晴に介護なんかで きるわけがないと。千晴は絶対できる。やってみせると言い返す。その強いまなざし。親父は圧倒されて、それ以上は言い返せない。だがそんな言い合いの真っ最中、おふくろが倒れてしまう。平賀さんと同じ病院に搬送された。おふくろは、退院まで千晴に親父の面倒を頼むと言い、千晴もそれを受け入れる。

ほどなく平賀さんは、退院に向けてリハビリを始めた。千晴はリハビリに付き添って、献身的に支える。リハビリは車いすの乗り降りだけで一苦労だ。千晴は手を貸したい衝動を抑えながらじっと見守る。リハビリを終えた平賀さんを、千晴はマッサージしながら励ます。平賀さんも千晴の励ましで、またがんばろうと思うのだった。

おふくろの見舞いの帰り、そんな2人の姿を親父は見かけた。つらいリハビリは続いている。なかなか思うように体が動かない。平賀さんにも焦りや疲れが出てくる。とうとうイライラして、物に八つ当たりをしてしまう。千晴が駆け込んでくる。すぐにわれに返り、ごめんと謝る。でも平賀さんは、そんな千晴の励ましに笑顔で答える余裕を失いかけていた。

そんなある日、平賀さんはある決意を千晴に話す。そして…。

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