虹を架ける王妃
-プロデューサーコメント-

▼中島久美子プロデューサーコメント
みなさんは李方子さんをご存知でしょうか。今をさかのぼること86年前、当時の昭和天皇のお后候補として有力視されながらお国のためということで、日本の皇族から初めて異国の王朝に嫁がれた女性です。日本が韓国を併合していたというのは歴史の授業でも教えられてきたことですが、その陰にこのような政略結婚といえる結婚があったことを、実は私も知ったのは4年前のことでした。たまたま韓国のMBCとの共同制作の担当が続き制作者との交流が深まる中で、「韓国で唯一尊敬されている日本人女性がいる」ということを知りまして、最初は非常に驚き、興味を持って取材をし始めたというのがこの企画を立ち上げるきっかけとなりました。

李方子さんは、特に晩年、韓国において障害者の自立のための学校をいくつか設立しまして、障害者教育とか、社会福祉について大変活躍されました。晩年は、"韓国福祉の母"ですとか、"韓国の母"といわれて、多くの人々に親しまれてきたんですが、彼女が韓国の福祉事業に関わる原動力になっていたのが夫・李殿下の存在でありました。李殿下は11歳で、伊藤博文に留学生として日本に連れてこられ、晩年亡くなる直前まで帰国を許されなかったという悲劇の皇太子として知られているんですが、その彼がいつか韓国に戻って韓国の教育をやりたいという夢を語っていたことを方子さんが遺志として引き継ぎ、それに加えて彼女の夫に対するおもいやり、大きな愛情というものが彼女を突き動かしたんじゃないかとおもいます。今よりももっと韓国との関係が過酷だった時代、なぜ二人が稀有(けう)な愛情を築くことができたのかという二人の夫婦愛をドラマのメインテーマとして描いてきました。

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