わたしたちの教科書
━- ストーリー -━
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珠子と耕平は、兼良の自宅前で待ち合わせをした。兼良のことが心配だったのだ。応対した由香里は、いつもと変わりない、などと言って会わせようとはしなかった。そのとき、2階で激しい物音がした。珠子たちが2階に駆け上がると、小型テレビの画面は砕け散り、PCのプリンターからは、兼良を誹謗中傷するサイト画面が次から次へとプリントアウトされていた。そこで兼良は、自分が父親を告発した、と皆に告げた。混乱し、何度も息子に手を上げる由香里。珠子は、そんな由香里を制すると、「僕はもうおしまいだよ…」と崩れて放心状態の兼良の肩を掴んだ。珠子は、しっかりと兼良を見据えると、生きられなかった彼女がいつかしたかもしれないことを思い浮かべて、と告げた。「それは全部失われたのよ。だから覚えてなきゃいけないの。彼女のいつかを、誰かが覚えてなきゃいけないの!」。珠子は、そう兼良に告げると、あなたがしたことは自分もしたことなのだから、私たちは同じ荷物を背負って彼女が生きるはずだった未来を歩き続けるの、と続けた。兼良の目からは涙があふれていた。
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