イノセント・ラヴ
-Story-
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そのとき、窓から吹き込んだ風で写真が吹き飛ばされた。佳音がそれを拾い集めようとしていると、そこに殉也が帰ってくる。殉也は、慌てて写真を隠そうとした佳音に、何をしていたのかと尋ねた。会社に報告されても仕方ない状況に観念した佳音は、人が笑っている写真が好きだと答えた。生きていればいろいろなことがあるが、笑顔の写真にはその人の幸せなときがずっとそこにあるから、と――。そんな佳音の言葉を静かに聞いていた殉也は、一緒に写真を撮ろう、と言い出す。殉也は、佳音から携帯電話を借りると、彼女の肩を抱いて一緒に写真を撮った。佳音は、殉也と撮った写真をプリントし、部屋の壁に貼った。それ以来、この写真は佳音の宝物になった。

クリスマスを控え、町は賑わいをみせていた。佳音は、アパートと仕事場を往復する毎日にも充実感を味わっていた。
そんなある日、佳音は、春江が派遣先の家の引き出しの中から金を盗もうとしているところを見てしまう。春江は、狼狽しながら、見逃してほしい、と訴えた。佳音は、ちょうどそこにやってきた家人には何も言わず、仕事を続けた。

佳音が仕事を終えて会社に戻ると、彼女を訪ねて雑誌記者の池田次郎(豊原功補)という男が待っていた。所長の美代子(筒井真理子)は、池田から佳音のことを聞いたようだった。池田は、佳音を喫茶店に連れて行くと、6年前の事件の話が聞きたい、といきなり切り出した。池田は、耀司が引きこもるようになって以来、父親の誠太郎(平田満)と折り合いが悪くなったことなどを調べていた。佳音は、事件があった夜のことを思い出そうとしただけで呼吸が乱れてしまうが、それを必死に抑え、耀司は無罪だと訴えると、真実を書いてほしい、と池田に懇願した。

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