不毛地帯
- 最終話 -
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同じころ、近畿商事では役員会議が開かれていた。伊原がノイローゼで神経科に入院した件と合わせて、綿花相場での巨額損失について切り出したのは財務本部長の武蔵稔(中原丈雄)だった。しかし大門は、綿花相場の件より60億円を無駄にした石油開発の方が問題だと言い出し、経営を立て直すために里井を副社長として呼び戻すことにした、と役員たちに宣言する。

役員たちの前で里井が副社長復帰の挨拶をしている最中、壹岐の秘書・塙四郎(袴田吉彦)が役員会議室に飛び込んでくる。サルベスタンの五号井から石油が出たという知らせだった。日産2〜3万バーレル以上の噴出状態だという。業務本部長の角田保(篠井英介)や武蔵は、壹岐に祝福と労いの言葉をかけた。壹岐は、涙を浮かべながら役員たちに礼を言った。

壹岐は、大門とともに記者会見を行い、油田発掘の報告をする。その席で壹岐は、今回の成功は、失敗のリスクを恐れなかった大門の勇気が一番の要因だ、と褒め称えた。入り口でそのようすを見ていた里井は、静かに会見場を後にした。

会見を終えた大門と壹岐は、社長室に戻った。そこで壹岐は、大門にいきなり勇退を迫った。「石油開発を始めるときから、お前の腹の中には社長の椅子に座るっちゅう野望があったんやな。何が国益や、何が使命感や!」。大門は、壹岐を怒鳴りつけた。

あくる日、毎朝新聞の一面には、大門が綿花相場で巨額の損失を出したという記事が掲載された。壹岐が、毎朝新聞の田原秀雄(阿部サダヲ)に情報を流したのだ。それを見た大門は、怒りが収まらず、新聞を放り投げ、踏みつけて暴れた。大門は、やってきた里井に、大株主や主力銀行の支持を取り付けるよう命じた。だが里井は、すでに勝負はついているとし、近畿商事復帰の話を白紙に戻してほしい、と言い出す。大株主や金融筋だけでなく、社内の人間もすべて壹岐を支持するいま、大門には彼を切る力はない、というのだ。

一方、黄紅子(天海祐希)は琵琶湖を訪れていた。そこに秋津千里(小雪)を呼び出した紅子は、壹岐と結婚しないのか、と尋ねた。すると千里は、壹岐とはもう結婚がどうという間柄ではないのかもしれない、と答えた。千里は、妻となることで陶芸の制作を乱されたくないという思いがあった上、亡くなった佳子のように壹岐を支えることができないとも考えていたからだった。そんな千里に、「あなたと亡くなった奥様は違うのよ」と紅子は声をかけ…。

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