不毛地帯
- 最終話 -
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別の日、壹岐は、大門に呼ばれて大阪本社を訪れる。そこで大門は、近畿商事の社長を退いて、会長に就任することを壹岐に告げる。すると壹岐は、会長ではなく相談役になってほしいと進言し、胸のポケットから辞表を取り出した。石油開発に成功したいまこそ世代交代を断行し、これからは組織で戦うべきだというのだ。

壹岐の思いを受け止めた大門は、集まった役員たちの前で社長を退くことを発表する。壹岐も退任すると知った兵頭らは、驚きを隠せなかった。

壹岐は、直子(多部未華子)と誠(斎藤工)を呼び、これからは谷川正治(橋爪功)の遺志を継いで朔風会の仕事をやっていくと伝える。直子は、迷惑をかけ通しですまなかったと頭を下げる父に、「長い間、お疲れ様でした」といって微笑んだ。

千里に会いに行った壹岐は、いままでのことを詫び、ふたりの関係を終わらせようとした。しかし千里は、壹岐への思いはこれからも変えられないのだから待っている、と答える。

数日後、壹岐は、シベリアに向かうため、羽田空港にいた。そこに現れた鮫島は、近畿商事が千代田自動車とユナイテッドモーターズの資本提携に成功したという新聞記事を見せ、このままでは済まない、辞めたと見せかけて奇襲攻撃を仕掛けるつもりだろう、などと言い出す。出発ゲートに向かう壹岐を追いかけた鮫島は、その背中に向かって、「まだ勝負はついてないぞ!壹岐正を倒せるのはこの鮫島だけだ!辞めるな!」と叫んだ。

シベリアの地に降り立った壹岐は、雪原の中に広がる日本人墓地を訪れる。シベリア抑留の過酷な日々を思い出しながら、静かに手を合わせる壹岐。その目からは涙が溢れて…。

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