不毛地帯
- 第十六話 -
[3/4]
東京に戻った壹岐は、毎朝新聞の記者・田原秀雄(阿部サダヲ)から取材を申し込まれる。田原は、近畿商事に対するバッシング記事には関与せず、壹岐の本当の狙いを追い求めていた。壹岐は、今回の入札は日本石油公社グループが落札できなかった場合の安全弁であることを田原に説明した。田原から、もし近畿商事とオリオン・オイルが一番札をとり、二番札が日本石油公社グループだったらどうするつもりなのか、と問われた壹岐は、公社グループに譲る、と返答した。
やがて、李が言っていたイラン国王の側近はドクター・フォルジという男であることが判明する。兵頭からの情報で、ドクター・フォルジはイラン前王妃からも信頼されていると知った壹岐は、黄紅子(天海祐希)の言葉を思い出す。紅子は、友人であるイラン前王妃から、近畿商事がどういう会社か尋ねられたと言っていたのだ。
紅子が帰国中だと知った壹岐は、クラブ『ル・ボア』で彼女に会った。そこで壹岐は、近畿商事とドクター・フォルジの仲介をしてもらえるよう、イラン前王妃に頼んでほしい、と紅子に依頼する。紅子は、それを了承すると、その前王妃も出資者に名を連ねるスイスの観光事業を近畿商事の海外支店にバックアップしてもらいたい、と壹岐に頼んだ。
同じころ、鮫島は、五菱商事専務の神尾(名高達男)から、サルベスタン鉱区に関する各社の入札予想価格を手に入れる。それによれば、1位は西ドイツのデミネックス社で、2位が日本石油公社グループ、近畿商事・オリオン・オイルは3位だった。今回の一番札は、入札価格が一番高いだけでなく、イランに対する経済協力も考慮される。鮫島は、確実にサルベスタン鉱区を落札するために、佐橋総理に会ってほしい、と神尾に頼んだ。大企業のトップを集めた経済ミッションをイランに派遣するためだった。
数日後、兵頭はベイルートで紅子と合流し、イラン前王妃からドクター・フォルジに宛てた親書を受け取る。紅子によれば、フォルジは火曜日の夜だけ王宮を出て家で過ごすのだという。それを聞いた兵頭は、ただちにテヘランに向かい、フォルジの家を訪れた。
兵頭は、顔を出した執事に親書を見せ、フォルジに会いたいと告げた。しかし、フォルジは誰にも会わないという。諦めきれない兵頭は、家の中に聞こえるように、石油開発への思いを叫んだ。
[前へ|次へ]
△もどる
0.不毛地帯 TOP
(C)フジテレビジョン